研究課題/領域番号 |
20H05634
|
研究種目 |
基盤研究(S)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清家 章 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (40303995)
|
研究分担者 |
鈴木 茂之 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特命教授 (00183418)
山口 雄治 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (00632796)
居島 薫 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10345697)
白木 一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10399389)
木村 理 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (10881485)
鳥養 映子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 協力研究員 (20188832)
鈴木 芳生 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 協力研究員 (20372146)
光本 順 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (30325071)
野崎 貴博 岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (40284054)
永嶺 謙忠 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (50010947)
福永 伸哉 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (50189958)
吉村 浩司 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (50272464)
南 健太郎 京都橘大学, 文学部, 准教授 (60610110)
三宅 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究員 (80209882)
渡辺 紀生 筑波大学, 数理物質系, 講師 (80241793)
野坂 俊夫 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (80252948)
|
研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
195,650千円 (直接経費: 150,500千円、間接経費: 45,150千円)
2024年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2023年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2022年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2021年度: 117,910千円 (直接経費: 90,700千円、間接経費: 27,210千円)
2020年度: 36,530千円 (直接経費: 28,100千円、間接経費: 8,430千円)
|
キーワード | ミュオンラジオグラフィ / 埋葬施設 / 墳丘 / 埴輪 / 文理融合 / 王陵 / 造山古墳 / 吉備 / 古墳時代 / 文理癒合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、最新科学と考古学の有機的なコラボレーションによって、発掘によらない王陵級巨大古墳の調査研究の方法を確立することにある。巨大古墳は、発掘調査の禁止あるいは制限がかかっている。そのため、重要な歴史資料でありながら、内容が不明なことが多い。そうした現状を最新科学を用いて打破する。具体的にはミュオンという素粒子を用いてレントゲン写真のように古墳内部を透視する。さらに出土埴輪の形態学的分析+化学分析・墳丘のレーザー測量を行う。主たるフィールドを吉備に置き、その調査成果を畿内の王陵と比較し、王陵級巨大古墳の構造分析を行う。
|
研究実績の概要 |
研究開始時点では想定できなかった長期にわたる新型コロナウィルスのパンデミックの影響を受けて、フィールド調査のいくつかは計画の順番変更を余儀なくされたが、困難を乗り越えておおむね順調、一部計画を先行して進めることができた。本研究はミュオン班・墳丘班・埴輪班の3つの班によって実施されている。それぞれの班ごとに研究経過を報告する。 ミュオン班:2020 年度は、古墳研究に適用するミュオン検出器の設計を検討し、検出器製作の基本方針を定め、製作を開始した。 墳丘班:墳丘班による三次元計測は、岡山市造山古墳周辺、総社市作山古墳で実施している。総社市鳶尾塚古墳の三次元計測も完了している。赤磐市両宮山古墳については、赤磐市教育委員会から三次元データを提供していただき、当初予定していた吉備三大古墳の墳丘三次元データを初年度で入手したことになる。次いでそれぞれのデータ整理を開始している。また、鳶尾塚古墳では墳丘の発掘調査を実施し、直径23mの円墳であることが推定されるに至っている。 埴輪班:造山古墳、両宮山周辺古墳(赤磐市森山古墳、同・宮山 4 号墳、同・岩田 3 号墳)と倉敷市二万大塚古墳出土埴輪の資料を所蔵機関から入手し、光学・電子顕微鏡による微細組織観察、X 線回折装置による鉱物同定、および電子線マイクロアナライザ・蛍光 X 線分析装置による化学分析を実施した。その結果、胎土には主に風化花崗岩起源の鉱物粒子と広域テフラ起源のガラス粒子が含まれており、それらの組成から生産地を特定できる可能性が示された。また、鉱物の熱変成と融解の程度により、野焼きと窖窯における焼成温度が見積もられた。埴輪の考古学的観察も並行して進め、造山古墳と畿内王陵系埴輪の比較研究を実施している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミュオンラジオグラフィについては、初年度にミュオン検出器 1 号機を開発する予定であったが、部品調達企業のリモートワークによる納期遅れと半導体の世界的な供給不足による部品入手の困難と価格高騰によって、外注を断念し、研究分担者が山梨大学ものづくりセンターの協力を得て、設計・製作・性能試験の全工程を担い1号機をやや遅れながらも完成させた。 墳丘班による三次元計測は、造山古墳周辺、作山古墳で実施し、両宮山古墳は赤磐市からデータを提供いただいた。鳶尾塚古墳の墳丘三次元計測も完了している。すなわち 2020・2021 年度に計画していた調査はすべて2020年度で完了している。 埴輪班も順調に研究が進展している。岡山大学所蔵埴輪の形態学的調査を実施し、かつ造山古墳出土埴輪片あるいは赤磐市所蔵の両宮山周辺古墳の埴輪片について電子線マイクロアナライザ・蛍光 X 線分析等の化学分析が実施できている。この点は想定以上の結果を得ているということができる。 ミュオンラジオグラフィは、やや予定よりも遅れているがその遅れは21年度中には取り戻すことができているし、墳丘班と埴輪班は予定より早いスピードで研究が進展している。総合的に考えるとおおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
ミュオン班:2020 年度は、部品の納期遅れにより1号機の完成が遅れたが、外注費の節減分で、半導体の世界的な供給不足にある電子制御装置の一部を 2 号機のために前倒しで調達した。これにより一層深刻化している半導体問題の影響を最小に留めることができているので、早期に 2 号機を完成させる。実証実験について当初計画では、2021 年度は、研究代表者による発掘作業が進んでいる鳶尾塚古墳で、1号機の実証実験を行う予定であった。しかし、疫禍により、鳶尾塚古墳のフィールド調査や装置の移設準備のための山梨から岡山への出張が困難である。一方、墳丘班による造山古墳の LiDAR測定のおかげで、造山古墳のシミュレーション精度は格段に向上した。そこで、実証実験を、山梨大学における低山透視と、造山古墳基部における、装置性能の実証と環境試験を兼ねた予備実験で代行する。 墳丘班:すでに計画にあった吉備三大古墳の墳丘データは入手したので、データ整理を進め墳丘規格研究を実施する。予定以上に計画が進展しているので、畿内と吉備の関係を示唆する他の古墳を計測する。 埴輪班:岡山市の人流抑制方針のため、岡山市所蔵造山古墳資料の分析ができなかった。そこで、岡山大学所蔵造山古墳資料を分析し、かつ分析する古墳資料の順番を入れ替えることで所定の成果をあげることができた。岡山市所蔵資料の分析は、パンデミック終了後に実施できる見込みである。また、畿内王陵系古墳の埴輪資料を収集し、科学手分析を実施し、吉備の埴輪と比較を行う。
|
評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
|