研究課題/領域番号 |
20H05639
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 順一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50212303)
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研究分担者 |
カンノン キップ 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50777886)
仏坂 健太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50867033)
伊藤 洋介 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60443983)
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70211951)
道村 唯太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80747006)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
202,410千円 (直接経費: 155,700千円、間接経費: 46,710千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 68,770千円 (直接経費: 52,900千円、間接経費: 15,870千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 109,070千円 (直接経費: 83,900千円、間接経費: 25,170千円)
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キーワード | 重力波 / データ解析 / 独立成分解析 / 原始ブラックホール / マルチメッセンジャー天文学 / ブラックホール / 連星中性子星合体 / キロノバ / 数値相対論 / インフレーション宇宙論 |
研究開始時の研究の概要 |
重力波を用いた宇宙物理学の研究を包括的に展開します。具体的には、①独立成分解析によってノイズを効率的に除去し、KAGRAによる重力波の初検出を目指します。②連星ブラックホールの質量分布関数とパルサーの周期擾乱で観測される長波長重力波背景放射を用いることにより、予想外に多数存在することがわかったブラックホールの正体を明らかにします。また、③連星中性子星合体については、マルチメッセンジャー宇宙物理学において、光学対応物となるガンマ線バースト及びキロノバの物理過程を数値相対論によって明らかにすると共に、r過程元素合成を計算し、銀河の化学進化の観測と照らし合わせて、金や銀などの起源を明らかにします。
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研究実績の概要 |
本研究計画は以下の三つの目的に関わる研究を遂行することにより、重力波宇宙物理学を包括的に推進することである。各目的ごとに本年度の研究実績を報告する。 目的Ⅰ 独立成分解析によるKAGRAデータ解析:KAGRAとGEO600検出器の共同観測O3GKのデータに基づき、独立成分解析による線形ノイズ除去と非線形ノイズ除去の双方を行い、この観測データが独立成分解析の活用に堪えることを示すとともに、ノイズの再度バンドの除去にも成功した。一般の非線形ノイズを環境信号を使って除去する方法論を開発した。また、KAGRAが第四期観測後半までに感度を向上させ、重力波初検出を果たせるよう、環境整備を調えた。 目的Ⅱ 重力波によって発見されたブラックホールの起源の解明:パルサータイミングアレイが背景重力波かもしれない信号を検出したとの報告を受け、その宇宙論的意義を検討した。その結果、原始ブラックホール説の当否を重力波によって検証する上での問題点を明らかにし、研究方針を拡大するため、原始ブラックホールの起源を与えるインフレーション宇宙論の曲率ゆらぎ生成機構の高次効果を計算する手法を開発した。その初期成果として曲率ゆらぎの非ガウス性に従来知られていなかった強い制限が課されることを発見した。 目的Ⅲ マルチメッセンジャー宇宙物理による連星中性子星合体の諸過程と重元素の起源の解明:昨年度の準備に引き続き、キロノバ 星雲期のエジェクタの物理状況(温度、電離度)とネオジム元素からの放射スペクトルの計算を行い、原子データベースNISTからラインリストを作成し、中間赤外のキロノバ 星雲期のスペクトルを計算し、GW170817のスピッツァー宇宙望遠鏡による観測結果と比較を行った。また、大質量星末期の質量放出現象のモデル化とその後の重力崩壊による爆発現象に与える影響を記述し、観測と比較できるモデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KAGRAの実データを用いた重力波初検出を目指す研究に関しては、新型コロナウイルス蔓延等によるKAGRA側の遅延という外的要因によって遅れている部分があるものの、本研究計画自体が行うこととしていた研究については、機動的な対応により、当初計画を大きく超える成果も挙がりつつあり、全体としては順調に進捗しているといえます。
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今後の研究の推進方策 |
パルサータイミングアレイによる予想外の報告に関しては、理論研究の幅を広げることにより、当初研究計画を大きく超える成果が挙がる目処がついてきました。KAGRAの感度向上の遅れが気になるところですが、第四期観測後半のデータに独立成分解析を実装し、重力波の初検出を実現できるよう、引き続き理論研究と環境整備を行っていく所存です。合わせて、数値シミュレーション研究については導入した計算機クラスターを駆使して精力的に推進して参ります。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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