研究課題/領域番号 |
20H05641
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
納富 雅也 東京工業大学, 理学院, 教授 (50393799)
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研究分担者 |
森竹 勇斗 東京工業大学, 理学院, 助教 (50783049)
小野 真証 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, ナノフォトニクスセンタ, 主任研究員 (80728197)
高田 健太 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, ナノフォトニクスセンタ, 主任研究員 (90786659)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
183,690千円 (直接経費: 141,300千円、間接経費: 42,390千円)
2024年度: 30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
2023年度: 36,790千円 (直接経費: 28,300千円、間接経費: 8,490千円)
2022年度: 36,530千円 (直接経費: 28,100千円、間接経費: 8,430千円)
2021年度: 40,430千円 (直接経費: 31,100千円、間接経費: 9,330千円)
2020年度: 39,910千円 (直接経費: 30,700千円、間接経費: 9,210千円)
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キーワード | ナノフォトニクス / トポロジカルフォトニクス / 非エルミート光学 / フォトニック結晶 / メタマテリアル |
研究開始時の研究の概要 |
近年トポロジカルフォトニクスの研究が活発化しているが、本研究では、構造を作製した後に動的に再構成可能な光トポロジー系を実現することを目指す。手法としては、ナノフォトニクス構造に機能ナノ材料を装荷修飾する方法と、屈折率虚部を用いた非エルミート光学周期系の特異な性質を利用する二つの方法を用いる。この手法により、光トポロジカル相転移の実現を目指し、さらに動的光トポロジー変化により実現する新たな光制御の提案を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、構造を作製した後に動的に再構成可能な光トポロジー制御技術を実現することを大きな目的とし、この目的達成のために、(1)ナノ材料修飾によるナノフォトニクス構造の制御技術と、(2)屈折率虚部が周期的に配列した非エルミート光学周期系を利用した制御技術を用いるアプローチをとっている。 (1)に関しては、昨年度初期的な観測を行った光トポロジカル相転移の詳細なデータを取得し、物質の相変化による光トポロジカル相転移の世界で初めての実証に成功した。また、1次元ジグザグ金属ディスク鎖構造の光トポロジーを偏光によって制御する実験を行い、エッジ状態の切り替え異をを実証し、論文発表を行った。 (2)に関しては、昨年度作製を開始したグラフェン装荷非エルミートフォトニック結晶において、円偏光変換に関して特異なカイラリティを持つことを確認した。さらに、波数空間に形成された例外点が同時に円偏光特異点となっており、結晶の対称性を制御することで、例外点と円偏光特異点のトポロジカルな相関を見出した。また、現実の系で例外点がぼける現象の理論解明に取り組み、ぼけた例外点を復活する手法の提案を行った。新たな方向性としては、結合共振器アレイが蔵本モデルで記述できる同期現象を起こすことを理論的に導き、この現象が非エルミート系の例外点に類似していることを明らかにした。また、光と機械振動が強く結合したオプトメカニカル共振器の開発を進め、非エルミート系への適用の検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画立案時に掲げた目標の一つである光トポロジカル相転移の実証に成功し、さらに偏光によるエッジ状態の切り替えにも成功し、再構成可能な光トポロジーの第一段階の目標を達成することができた。また、もう一つの重要なポイントであったトポロジカル特異点の制御に関しては、我々が提案した制御法の実験実証に成功し、さらに非エルミート系における例外点も含めた特異点の制御が可能なことが見え始めており、後半にむけて重要な成果が出始めている。以上から、当初の目標を達成した上に、計画以上の成果も得られていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究で見出した非エルミートフォトニック結晶の対称性制御による例外点および偏光特異点の制御について、様々な制御法の実現を狙う。特に非エルミート系特有のカイラルな性質の制御に注力する。また、光トポロジカル相転移において用いた相変化材料GSTの光パルスによる動的制御方法を確立し、物質相変化によるトポロジー制御方法を開拓する。さらに、これまではパッシブな反射測定が主であったが、発光材料を用いることにより、発光現象に結び付ける方向へ研究を発展させていく予定である。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる
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