研究課題/領域番号 |
20H05643
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
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研究分担者 |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00344614)
宮原 ひろ子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (00532681)
早川 尚志 名古屋大学, 高等研究院(宇宙), 特任助教 (10879787)
笹 公和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20312796)
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30634414)
前原 裕之 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40456851)
栗田 直幸 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60371738)
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70292448)
門叶 冬樹 山形大学, 理学部, 教授 (80323161)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
198,120千円 (直接経費: 152,400千円、間接経費: 45,720千円)
2023年度: 34,970千円 (直接経費: 26,900千円、間接経費: 8,070千円)
2022年度: 37,440千円 (直接経費: 28,800千円、間接経費: 8,640千円)
2021年度: 42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2020年度: 57,720千円 (直接経費: 44,400千円、間接経費: 13,320千円)
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キーワード | 宇宙線生成核種 / 放射性炭素 / 太陽活動 / 氷床コア / 年輪 / 太陽高エネルギー粒子 / 太陽 / 宇宙線 / 樹木年輪 / 加速器質量分析 / Solar Energetic Particle |
研究開始時の研究の概要 |
樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be、36Clといった宇宙線生成核種は、観測史上最大とされる1956年のSEP(Solar Energetic Particle)イベントの数十倍という過去の超巨大SEPイベントの優れた代替データである。本研究は、年輪の14Cと氷床コアの10Be、36Cl分析から、完新世(過去1万2千年間)における最大のSEPイベントの同定と、超巨大SEPイベントの発生頻度及びその発生特性の解明を目的とする。我々の太陽における発生特性を、太陽型恒星の恒星フレアと比較することで、太陽型恒星における太陽の普遍性と特殊性を評価する。
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研究実績の概要 |
大規模な太陽面爆発は、人工衛星の破壊や通信障害等を引き起こし、現在の宇宙開拓時代において大きな脅威になり得る。本課題は過去に発生した巨大な太陽面爆発の代替指標である宇宙線生成核種(樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be、36Cl)を用いて、過去1万年間における巨大な太陽面爆発の発生頻度や規模の上限など長期的な特性を明らかにしようというものである。 これまでの研究実績として、(1)BC5,000~BC4,000年代の約1,000年間の連続14Cデータ取得、(2)14Cデータにみられる複数のSEP起源と考えられるイベントの発見(3)小型14C増加イベントの検出手法の確立と小型SEPイベント存在の示唆(4)歴史文献に基づく数多の磁気嵐現象の発見が挙げられる。 (1)に関して、大規模SEPイベントの発生頻度の議論を行う上でも、得られた単年14Cデータの年代測定等への応用という側面からも、長期間の単年14Cデータの取得は極めて重要である。また、過去1万年に及ぶ14C取得のための年輪試料準備等も着実に進んでおり、今後の分析から他に類を見ない長期データセットの取得が見込める。(2)(3)について、例えば、BC5410年のSEPイベント候補が複数の樹木試料から確認された(Miyake et al. 2021)。また、775年イベントの約1/8~1/5に相当する14C増加が複数報告された(Miyahara et al. 2022)。(4)について、1859年のキャリントンイベントをはじめ、過去3000年にわたる数多くの磁気嵐現象の調査が進んでいる(e.g., Hayakawa et al. 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に過去7500年間の樹木試料は確保されており、14C濃度の測定も進んでいる。最終年度までに予定している分析を実施可能である。また、当初の予定に加え、小型イベント検出に関する取り組みを進めている。歴史文献を用いた調査が多くの年代で進んでいる点、小型イベント検出手法の確立や小型イベントの検出などの成果につながっている点など、既に期待以上の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、主に(1)過去1万年間の未測定期間の連続14Cデータ取得、(2)1956年周辺の高精度10Be分析(南極沿岸H15コア、南極内陸ピットコア、グリーンランドSEドームコア)、(3)775年周辺のトラバーチン試料の10Be分析、(4)文献記録を用いた過去の太陽活動の調査、(5)TESSによる恒星フレア頻度の調査、が挙げられる。(1)~(4)について順次進め、最終年度に(5)を実施し、同位体データから得られた巨大SEPイベントの発生頻度との比較を行う。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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