研究課題/領域番号 |
20H05644
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 克哉 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (70283736)
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研究分担者 |
河口 沙織 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (00773011)
高野 義彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (10354341)
石河 孝洋 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (40423082)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
196,560千円 (直接経費: 151,200千円、間接経費: 45,360千円)
2024年度: 32,630千円 (直接経費: 25,100千円、間接経費: 7,530千円)
2023年度: 31,720千円 (直接経費: 24,400千円、間接経費: 7,320千円)
2022年度: 32,500千円 (直接経費: 25,000千円、間接経費: 7,500千円)
2021年度: 60,060千円 (直接経費: 46,200千円、間接経費: 13,860千円)
2020年度: 39,650千円 (直接経費: 30,500千円、間接経費: 9,150千円)
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キーワード | 超伝導 / 高圧力合成 / 水素化物 / 微細デバイス / 高温超伝導 / 超伝導デバイス / 超高圧 / 高圧合成 |
研究開始時の研究の概要 |
電気抵抗ゼロで電流が流れる超伝導現象は低温でおこるものとされてきたが、近年の高圧力技術と計算科学の進歩によって、高圧力の条件下では室温でも超伝導になる「室温超伝導体」の実現への期待が高まってきた。本研究は、室温超伝導体を高圧力下で合成すること、超伝導体によるデバイス回路を高圧装置内で動作させることを目的に掲げ、室温で動作する超伝導デバイスの作成へつなげる。我が国の高圧力を用いた超伝導物質合成技術、計算・数理データ科学、結晶構造解析技術、精密デバイス化技術を集結し、室温超伝導の実現にとどまらず、その超伝導を実用へつなげることを目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究が目指す「室温動作超伝導デバイス」の実現にむけ、1.室温超伝導体と2.高圧力のまま超伝導材料をデバイスに利用の達成を同時に進めてきた。「超伝導転移温度はどこまで上げることができるのか」という学術的な問いと、「高圧のままで使う」という発想の実現のため、高圧力を安定に保持して高温超伝導を利用するための研究である。代表者清水の実験技術を基盤軸に、分担者の石河による理論物性予測、河口による超高圧下結晶構造解析を通じて1の実現、分担者の高野と協力して2の開発研究を進めた。 理論計算によって室温に迫るまたは室温以上の水素化物がいくつか提案されている。これらのうち、3元素系水素化物を中心に高温超伝導水素化物の合成実験に取り組んだ。既知の高温超伝導体水素化物(La水素化物など)への軽元素を加えて3元素系とするドーピングの手法と、Luなどの希土類とCaなどの2価金属との水素化物による3元素系などである。また、デバイス化を見据え、より低い圧力で同程度の超伝導転移温度をもつ物質探索も同時に行ったが、理論予測通りの超伝導転移温度は達成されていない。期間中に海外のグループから室温を超える超伝導水素化物の発見の報告があり、その検証実験を行った。我々を含め追試に成功した例はなかった。第一原理計算を用いた3元系水素化物超伝導体の探索のため、構成元素、圧力、安定組成、安定構造、超伝導性に関するデータ統合をすすめ、統計解析や機械学習に利用できるようデータベース化に取り組んだ。ホウ素ドープダイヤモンド電極を発展させ、ヒーター内蔵型ダイヤモンドアンビルを用いた新超伝導探索を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水素によりダイヤモンドアンビルが破砕する問題は、研究開始当初からこの克服が重要と認識していたが、いまだ目的の圧力を発生させる前に破砕することが少なくなく、研究の推進を妨げている。また、理論計算により提案された高温超伝導水素化物の実証実験は、その予測された温度圧力での合成が成功しないことも多く、最適条件の探索に時間を要している。また、海外の他グループから室温を超える超伝導水素化物の発見の報告があり、その検証実験に多くの時間を費やしたが、我々も含めて他のグループによる追試実験は成功せず、その論文が撤回されることになった。 超伝導水素化物の合成手法の開発とそのノウハウの蓄積は確実になされてきており、理論提案にあった超伝導性をもつ水素化物の合成に着実に近づいていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、室温または室温にに迫る水素化物超伝導体の探索を推進するが、これまでに理論予測された高温超伝導水素化物がその予測通りに合成されるものは多くない。予測された圧力で高温合成するだけでは、目的の組成の水素化物が合成できるとは限らず、その合成に適した合成経路の発見が重要であると考えている。水素によるダイヤモンド破砕の問題を、ダイヤモンドアンビル表面の改質によって解決し、実験効率を回復させるとともに、合成手法の最適条件の探査に注力する。デバイス化の実現には、超伝導体を微細加工した光検出センサーに取り組み、デバイスに用いる高温超伝導水素化物を決定し、デバイス形状への加工と動作検証を進める。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの進展が認められるが、一部に遅れが認められる
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