研究課題/領域番号 |
20H05646
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
下村 浩一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60242103)
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研究分担者 |
藤田 全基 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20303894)
清水 裕彦 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (50249900)
中野 岳仁 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (50362611)
吉田 光宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (60391710)
飯沼 裕美 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (60446515)
佐々木 憲一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (70322831)
仁尾 真紀子 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 上級研究員 (80283927)
友野 大 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (40415245)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
196,430千円 (直接経費: 151,100千円、間接経費: 45,330千円)
2024年度: 21,320千円 (直接経費: 16,400千円、間接経費: 4,920千円)
2023年度: 40,430千円 (直接経費: 31,100千円、間接経費: 9,330千円)
2022年度: 34,710千円 (直接経費: 26,700千円、間接経費: 8,010千円)
2021年度: 60,710千円 (直接経費: 46,700千円、間接経費: 14,010千円)
2020年度: 39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)
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キーワード | ミュオン / ミュオニウム / トラップ / 超微細構造 / 磁気モーメント / 電磁トラップ / 素粒子 / レプトン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではミュー粒子にかかわる相互に関連した二つの精密測定研究を実施する。一つはこれまでの実績の発展として、2体束縛系であるミュオニウム(正ミュオンと電子の束縛系)の磁場下でのゼーマン副準位を高精度で測定することで、従来より一桁以上高い精度でミュオニウムの超微細構造および、ミュオンの磁気モーメントと質量を決定する。もう一つは、超低速ミュオンビームとペニングトラップの手法を組み合わせることにより、単一粒子ミュオンの測定を新たに開始し、ミュオンの磁気モーメントと質量をミュオニウムとは全く独立に、最高精度で決定する。これらの結果を総合し、素粒子標準理論を超えた新物理の探索を行う。
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研究実績の概要 |
本測定を実施するHラインは、2022年度にミュオンと陽電子を分離するDCセパレタの設置が完成し、調整運転を経て本格的に運用が開始された。現在2024年度5月下旬からの高磁場下でのミュオニム超微細構造測定にむけて、MRI磁石の励磁試験が順調に終了し、精密磁場調整を進めている。また、共鳴キャビティも1.7Tおよび2.9T用の実機の調整が終了している。また、Dラインにおいて実施された高精度な測定結果を、これまで培ってきたラビ振動分光法など我々独自の手法を用いて解析を進め学会発表や論文発表を行った。 一方、2022年度に実機の製作に取りかかったトラップについては、2023年度中に完成し、信号が見やすい負ミュオンの捕獲実験を実施し、世界初のミュオントラップを実現した。 イオン化レーザーはより大強度化を目指してアンプ系の増強等を進めた。尚、3He NMR測定装置は引き続き開発を進めているが、初期実験は今までに確立しているH2Oプローブを使用して実施することとした。 これにより、単一自由粒子としてのミュオンの運動を観測し、ミュオン粒子そのものの質量や磁気モーメントをこれまでにない高精度で決定可能となる。これは、超低速ミュオンビームを大量に生成可能な世界で唯一の施設であるJ-PARCでのみ観測可能な手法である。 以上により得られた結果は、素粒子標準理論では説明が困難であったミュオン粒子とミュオニウムを含む物理現象を説明可能とする厳密で精緻な新物理の探索を行う上で大変重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に実機の製作に取りかかったトラップについては、当初の予定通り2023年度中に完成し、以前より信号が見やすい負ミュオンの捕獲実験を実施し、世界初のミュオントラップを実現した。
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今後の研究の推進方策 |
本測定を実施するHラインは、2022年度にミュオンと陽電子を分離するDCセパレタの設置が完成し、調整運転を経て本格的に運用が開始された。一方、2022年度に実機の製作に取りかかったトラップについては、2023年度中に完成し、現在より信号が見やすい負ミュオンの捕獲実験を実施し、世界初のミュオントラップを実現した。2024年度はレーザーの更なる大強度化を目指しアンプ系の増強等を継続するとともに、3Heプローブについても引き続き開発を進め、正ミュオンの高精度捕獲を進めていく。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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