研究課題/領域番号 |
20H05649
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分C
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寒川 誠二 東北大学, 流体科学研究所, 特任教授(客員) (30323108)
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研究分担者 |
大堀 大介 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00839293)
福山 敦彦 宮崎大学, 工学部, 教授 (10264368)
野村 政宏 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10466857)
太田 裕之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (70356640)
遠藤 和彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (60392594)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
195,000千円 (直接経費: 150,000千円、間接経費: 45,000千円)
2024年度: 41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2023年度: 41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2022年度: 41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2021年度: 48,360千円 (直接経費: 37,200千円、間接経費: 11,160千円)
2020年度: 22,230千円 (直接経費: 17,100千円、間接経費: 5,130千円)
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キーワード | 無欠陥ナノピラー複合材料 / フォノン場制御 / 高移動度半導体素子 / フォノンバンド / エレクトロンバンド / 無欠陥ナノ周期構造複合材料 / 無欠陥ナノ周期構造 / ナノスケールサーマルマネジメント / ナノスケールサーマルマネージメント / 無欠陥周期ナノ構造 / 高移動度半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
独自技術であるバイオマスクと無損傷中性粒子ビーム加工の組み合わせで形成される周期的で無欠陥なサブ10nm径の半導体ナノピラーをマトリックス材料で埋め込んだ複合構造を作製する。作製されたナノピラー複合構造に対して新たに開発したナノメートルオーダー計測技術と理論的計算を適用し、材料やナノピラーサイズ、間隔がフォノン生成・輸送特性制御に有効であることを実験的・理論的解析から初めて明らかにする。得られた知見をもとに本質的にキャリアのフォノン散乱を極限まで抑えたナノピラー複合構造を設計し、同構造をトランジスタチャネルに採用することで革新的な高移動度半導体素子を実現する。
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研究実績の概要 |
研究代表者・東北大・寒川GrはSi NP構造を埋め込むためのSiGeに対して着目し、成長させる際の基板表面がSiまたはSiO2によって、歪み・緩和の観点から膜質評価と表面粗さの違いを調査した。その結果、成長表面の違いが成長後の表面粗さに大きな影響があることがわかり、さらに結晶性や転位密度が変化することがわかった。これは、Si NPを埋め込んだ後に、複合膜構造全体の電子・正孔移動度へ影響することが予想される重要な知見となった。 研究分担者・産総研・太田(旧遠藤)Grは、寒川Grで作製したSiGe表面に対して、CMP技術を用いた表面の平坦化の条件をさらに最適化することで、デバイス試作の準備を進めた。 研究分担者・東京大学・野村Grは、フォノニック結晶系におけるフォノン輸送計算を継続し、フォノンバンド解析、状態密度、輸特性解析を行った。寒川Grによって作製したSi NP構造を用いることで、ブリユアン散乱および時間領域サーモリフレクタンス(TDTR)法を用いて、Si NP構造により5GHz周辺に定在波が確認され、熱伝導との関係性を発見した。 研究分担者・宮崎大学・福山Grは、ナノオーダーステージを自動制御することで検出レーザー照射位置のみをスキャンさせて、材料内で発生したフォノンがどこまで輸送されるかの2次元マッピングを測定するための装置およびソフトウエアの改造を行った。寒川Grによって作製したSi NP/SiGe複合膜を測定することで、Si NPの間隔によってキャリアライフタイムが変化することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォノン/エレクトロンバンド制御を行った高移動度半導体素子の作製という目標に対して、順調に必要な項目の最適化が進められていると考える。とりわけマトリックス材料であるSiGeにおいては、すでに埋め込み技術が最適化されており、さらに成長表面によって膜構造の変化があることが確認できたことから、デバイス化へ大きく前進したと考えられる。作製予定のデバイス構造に対して、Si NP構造によって音響モードに定常状態をもたらし、フォノン伝導に影響を与えている可能性が示唆された。さらに、キャリアライフタイムの観点でSi NP構造の間隔が影響しており、これらの新たに明らかとなった物理を元にデバイス化を進めているため、おおむね順調に発展できていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
東北大学・寒川Grはデバイス化へ向けて、埋め込み材料であるSiGeが重要である事が明らかとなったため、実際にSi NP構造へ埋め込む際にNP表面の状態を制御し、デバイス化へ向けてSi NP/SiGe複合膜の作製を行う。産総研・太田Grは寒川Grによって作製されたSi NP/SiGe複合膜を用いて実際のMOS構造を作製する。東京大学・野村Grは、Si NP/SiGe複合膜に対してナノ構造とSiGe間で起こるフォノン輸送計算およびフォノンバンド解析を進める。宮崎大学・福山Grは、レーザーヘテロダイン法を用いて寒川Grによって作製された最適化の進んだ複合膜の測定を進める。さらに、材料ないで発生したフォノンがどこまで輸送されるのかという課題に関して、調査を進める。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの進展が認められるが、一部に遅れが認められる
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