研究課題/領域番号 |
20H05651
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分C
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田畑 仁 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00263319)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
196,560千円 (直接経費: 151,200千円、間接経費: 45,360千円)
2024年度: 36,530千円 (直接経費: 28,100千円、間接経費: 8,430千円)
2023年度: 35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2022年度: 34,970千円 (直接経費: 26,900千円、間接経費: 8,070千円)
2021年度: 49,400千円 (直接経費: 38,000千円、間接経費: 11,400千円)
2020年度: 40,170千円 (直接経費: 30,900千円、間接経費: 9,270千円)
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キーワード | ガスセンサ / 酸化物半導体 / 多孔質材料 / ナノ粒子 / 嗅診 |
研究開始時の研究の概要 |
健康状態あるいは病態に関連した体ガスの中で単一種類の皮膚ガス成分の検出、続いて複数ガスの選択的検出が可能なppbレベルの高感度ガスセンサの構築を目指す。最終的にはがん検出犬の嗅覚(10ppt)を超えるレベルの超高感度電子鼻の開発を目指す。ガスの分子サイズに対応した、空孔を有するゼオライトを選択し、さらに皮膚ガス検出する酸化物半導体材料(酸化還元能、電子状態設計)の粒子サイズをナノスケールで制御することで、研究代表者グループの先行研究の感度:10ppbを1000倍高感度化し、麻薬/がん探知犬の嗅覚感度(10ppt)を超える超高感度電子鼻の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
ナノ構造制御による超高感度皮膚ガス検出に関する研究を行った。 1)ガス検出部:酸化物半導体ナノ構造ヘテロ構造 半導体式ガスセンサは固体表面とガスとの反応によって生じる抵抗の変化に基づき、ガスの存在やその濃度を計測した。比較的安定な表面を有する酸化物半導体を材料として用いることが多い。n型半導体であるWO3、ZnO、SnO2、TiO2やn型磁性半導体CoZnO、p型半導体であるCu2O、NiO、磁性半導体であるFe2O3等が半導体式ガスセンサの材料とした。先行実験によりアセトンガスに対しては、WO3半導体が選択的計測感度が高いことを確認しており、電子ビームリソグラフィとスピンコート技術をハイブリッドさせることにより、ゼオライトとのヘテロナノ構造FETを形成し、各種皮膚ガスに選択的感度を有するセンサの作製した。
2)ガス検出部:微小質量変化に対して敏感に振動定数が変化することが期待される、高ヤング率材料のグラフェンをガスセンシング材料として利用する、新しいガスセンサを考案し、圧電体素子とのはブリッド構造によるグラフェン/表面弾性波ガスセンサを新規に作製した。本ガスセンサにより、ppbを上回る数百pptレベルの超高感度ガスを検出することに成功した。 加えて、ガス選択性に優れた多孔質機能性材料として、ゼオライトに加えてMOF(Metal Organic Framework:金属有機構造体)を新しく導入して、ガス選択性の機能向上を実現することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画および中間審査での助言に沿って、多孔質機能性材料を専門とする研究者に共同研究者として助言を受け、新規の材料(金属有機構体)を導入した実験を進めており、順調に進展していると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得た酸化物半導体ナノ構造と、検出対象ガスの選択的識別および濃縮効果が期待される機能性多孔質材料(ゼオライトおよび金属有機構造体:MOF)とのヘテロ構造を作製することで、さらなる性能向上を試みる。 1)ガス選択識別材料の最適化 現在実施中である、検出ガスの選択性、濃縮特性の鍵となる機能性多孔質材料(ゼオライト、金属有機構造体等)の専門家である研究者との共同研究をより推進し、健康状態および病態との関連の深い体ガスにフォーカスしたセンサ開発を引き続き実施する。 2)超高感度(サブppb、pptレベル)ガスセンサの開発 極微量質量変化に対して超高敏感に振数が変化することが期待される、高ヤング率材料のグラフェンをガスセンシング材料として利用し、従来と全く異なる機構による圧電体素子とブリッド構造によるグラフェン/表面弾性波ガスセンサを新規に作製した。本ガスセンサにより、ppbを上回る数百pptレベルの超高感度ガスを検出することに成功した。本センサのガスセンサ構造の最適化を進めることでさらなる高感度化を目指す。加えて本センサを用いたアルカン(アセトン等)、ベンゼン誘導体(アニリン)など(揮発性有機化合物)の予防医学関連の体ガスや、ノナナール(肺がん),メチルメルカプタン(大腸がん)等の疾患関連の体ガスの網羅的データ解析を行う。これらにより、従来感覚や経験に依存し、数値化・客観性が困難なため本格的な医工学応用が不十分であった健康状態/病態と皮膚ガスとの相関における学術基盤を構築する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
B: 研究領域の設定目的に照らして研究が遅れており、今後一層の努力が必要である
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