研究課題/領域番号 |
20H05652
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分C
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
竹村 泰司 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30251763)
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研究分担者 |
関口 康爾 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00525579)
吉田 敬 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (30380588)
大多 哲史 静岡大学, 工学部, 准教授 (30774749)
笹山 瑛由 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (60636249)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
196,560千円 (直接経費: 151,200千円、間接経費: 45,360千円)
2024年度: 31,460千円 (直接経費: 24,200千円、間接経費: 7,260千円)
2023年度: 40,300千円 (直接経費: 31,000千円、間接経費: 9,300千円)
2022年度: 37,960千円 (直接経費: 29,200千円、間接経費: 8,760千円)
2021年度: 41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2020年度: 45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
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キーワード | 磁性ナノ粒子 / 磁化ダイナミクス / ハイパーサーミア / がん温熱治療 / 磁気粒子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
磁性ナノ粒子を用いた新しい診断治療技術に関する研究課題である。腫瘍等に集積させた磁性ナノ粒子に体外から比較的低い周波数の交流磁界を印加し、そのときに生じる磁気信号を検出することにより体内の画像診断が可能となる。また、より高い周波数の交流磁界を印加すると磁性ナノ粒子が発熱する。この発熱は癌の温熱治療(ハイパーサーミア)に利用することができる。交流磁界に対する磁性ナノ粒子の磁化応答(ダイナミクス)を解明し、これら診断治療の実用を目指す。
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研究実績の概要 |
1.磁性ナノ粒子の磁化ダイナミクス解明:立ち上がり時間が10 ns程度のパルス磁界を印加する、磁化ダイナミクスの直接的な計測手法を確立した。ナノ~ミリ秒の広範な時間領域における磁化ダイナミクスの実測に成功した(Intermag 2023)。高速ネール緩和の測定では、従来理論では説明できない結果が得られた。磁気光学効果によるピコ秒オーダーでの磁化測定(応用物理学会 2023年、Phys. Rev. Research 2022)を併用して検証を進める。磁化及び磁化容易軸の各応答を測定し、それらの粒子構造依存を明らかにした(Int. J. Magn. Imag. 2023)。 2.磁気粒子イメージング:頭部サイズの交流励磁コイルと検出コイルを組み合わせ、臨床診断で要求される微量の磁性ナノ粒子を検出可能であることを明らかにした(日本磁気学会 2022年、論文投稿中)。高感度磁気センサをアレー化し、頭部サイズの装置でサブpTの検出感度を実現した(AIP Adv. 2023)。 ボア径120 mmの人体1/5サイズ実機においては、YBCO高温超電導線材を用いた超電導傾斜磁界コイルに加え、交流励起コイル並びに検出コイルの作製を完了した(日本磁気学会 2022年)。これらのコイルを実装し、設計通りの傾斜磁界、交流励起磁界分布を得ることに成功した(電気学会全国大会 2023年)。 3.癌温熱治療:生体環境における磁化応答を考慮した発熱機構を解明するために、マウスに移植した腫瘍に投与した磁性ナノ粒子の磁化ダイナミクス計測システムを構築した(日本磁気学会 2022)。高発熱を示す市販2種の磁性ナノ粒子について発熱量及び発熱効率の磁界強度・周波数依存を定量化した(日本磁気学会 2022年、論文投稿中)。標準的な発熱指標として活用されると期待する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
磁化ダイナミクスの高速測定及び広帯域測定を可能とする新規に構築した計測システム、及びモデリングとシミュレーションを活用し、診断治療応用に係わる磁性ナノ粒子の磁化ダイナミクスを解明した。ネール緩和については従来理論では説明できない測定結果を得ており、発表準備中である。 磁気粒子イメージングでは、高温超電導コイルを組み込む磁気粒子イメージング実機を完成させ、最終段階である磁性ナノ粒子の検出実験を行っている。高感度磁気センサをアレー化する新規手法によるサブpT磁界の検出や、頭部サイズでの微量磁性ナノ粒子の検出に成功しており、臨床実機に応用可能な研究成果を得ている。 癌温熱治療への応用では、本課題で解明した磁化ダイナミクスにより発熱機構を検証するとともに、研究対象として広く使用される2種の市販の磁性ナノ粒子について発熱量の磁界強度・周波数を定量化するなど当該分野の研究展開に貢献する先駆的な成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度(3年間)終了時点において、残す2年間の研究計画を既に一部前倒しで実施している。令和5年度についても予算制約がないものは最終目標の達成に向け、全ての研究計画を実施可能な状況にある。申請時に想定していなかった磁化ダイナミクスの計測手法や磁気粒子イメージングの検出手法を新たに提案した。これらの課題も推進する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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