研究課題/領域番号 |
20H05661
|
研究種目 |
基盤研究(S)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分D
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小坂 英男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (20361199)
|
研究分担者 |
寺地 徳之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, グループリーダー (50332747)
加藤 宙光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員(※) (00415655)
松崎 雄一郎 中央大学, 理工学部, 准教授 (10618911)
|
研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
196,040千円 (直接経費: 150,800千円、間接経費: 45,240千円)
2024年度: 25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2023年度: 46,020千円 (直接経費: 35,400千円、間接経費: 10,620千円)
2022年度: 46,670千円 (直接経費: 35,900千円、間接経費: 10,770千円)
2021年度: 43,940千円 (直接経費: 33,800千円、間接経費: 10,140千円)
2020年度: 33,670千円 (直接経費: 25,900千円、間接経費: 7,770千円)
|
キーワード | 量子情報 / 量子光学 / 量子制御 / ナノフォトニクス / 量子コンピュータ / ダイヤモンド / NV中心 / 量子ストレージ / 量子メディア変換 |
研究開始時の研究の概要 |
ダイヤモンド窒素空孔中心(NV)の周囲にクラウド状に分布する炭素同位体集団で構成される量子ストレージにおける万能な量子メディア変換技術を確立する。NV遠方の深層炭素集団を量子ストレージとし、幾何学的デカップリングによる深層炭素の個別量子もつれ生成、単一光子から単一深層炭素への選択的な量子メディア変換、任意の深層炭素間の量子もつれ測定、量子符号化によるフォールトトレラント化、NVアンサンブルへの拡張による大規模量子ストレージ化を実現する。完全無磁場下で動作する量子ストレージは超伝導量子ビットとの整合性が高く、量子コンピュータネットワークによる分散型量子計算や秘匿量子計算などに道を拓く。
|
研究実績の概要 |
本課題の目的は、ダイヤモンド窒素空孔中心(NV)の周囲にクラウド状に分布する炭素同位体集団で構成される量子ストレージにおける万能な量子メディア変換技術の確立することである。
上記の目的に鑑み、2022年度(令和4年度)は、ダイヤモンドNV中心周囲の深層炭素の量子符号化による、フォールトトレラント化の実験による実証を目標とした。深層炭素に保存した量子状態も、炭素間結合や外部磁場の変動などのノイズにより破壊が進む。そのため、ビット誤り(0と1の入れ替え)や位相誤り(0と1を軸とする位相回転)を自動補正する量子符号化の手法を確立する必要があった。本研究では、深層炭素を含むNV中心周囲の3個の核スピンにより論理量子ビットを構成する量子符号化を行うことで、NV中心の電子スピンに対する主要なエラーとなるビット誤りと位相誤りを自動的にエラー訂正を行うことに実験的に成功した。これにより、当初に計画した通り、本年度の達成目標であった深層炭素の量子符号化による強固な誤り耐性をもつフォールトトレラントな量子ビットの実証に実験的に成功し、目標を達成した。
本研究で実現するダイヤモンドNV中心の量子メディア変換技術は、超伝導量子ビットとの整合性が高く、無磁場下で動作する1Mビット規模の量子ストレージの開発により、量子インターネットで接続された量子コンピュータネットワークによる分散型量子計算や秘匿量子計算などに道を拓き、高度情報化社会に飛躍的進化をもたらす。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた2022年度(令和4年度)の目標である「深層炭素の量子符号化によるフォールトトレラント化」を当初の計画通りに達成したため。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、NVアンサンブルへの拡張による大規模量子ストレージ化を行う。
一つのNVに含まれる深層炭素は高々100個程度であるが、窒素イオン注入などにより集積化されたNVアンサンブルを用いることで、大規模な量子ストレージが構築できる。無磁場下で動作するため磁場不均一性の問題がない。100×100 個のNVに光アクセスできれば、深層炭素と合わせて1Mビット規模の量子ストレージが実現できる。NV間隔が1μm程度以上離れていれば、独自開発の共鳴光によるホロノミック量子操作で個別操作できるが、光学励起状態の緩和時間は12nsと早く、操作忠実度は95%程度に留まる。一方、マイクロ波を用いたホロノミック量子操作では99.5%以上の操作忠実度を既に得ているがNV の個別操作はできない。 そこで、非共鳴光による周波数シフト(光シフト)に同調したマイクロ波によるホロノミック量子操作で高い忠実度の個別操作を可能とする。各NVの位置情報と深層炭素のハミルトニアンを機械学習することにより、NVアンサンブルと深層炭素集団の階層構造で大規模化された量子ストレージへの万能量子メディア変換を可能とする。
|
評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
|