研究課題/領域番号 |
20H05662
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分D
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
武田 淳 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60202165)
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研究分担者 |
草場 哲 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (00961640)
金 有洙 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (50373296)
片山 郁文 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80432532)
今田 裕 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 上級研究員 (80586917)
吉田 昭二 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90447227)
金島 圭佑 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (30804025)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
190,580千円 (直接経費: 146,600千円、間接経費: 43,980千円)
2024年度: 26,130千円 (直接経費: 20,100千円、間接経費: 6,030千円)
2023年度: 32,890千円 (直接経費: 25,300千円、間接経費: 7,590千円)
2022年度: 32,500千円 (直接経費: 25,000千円、間接経費: 7,500千円)
2021年度: 48,360千円 (直接経費: 37,200千円、間接経費: 11,160千円)
2020年度: 50,700千円 (直接経費: 39,000千円、間接経費: 11,700千円)
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キーワード | テラヘルツ / 近接場分光 / STM発光 / 中赤外パルス |
研究開始時の研究の概要 |
微細かつ超高速な時空間領域で物質の構造や機能を自在に操作することは、次世代ナノエレクトロニクスにとって最重要課題の1つである。本研究では、位相制御した遠赤外~中赤外パルスと走査トンネル顕微鏡(STM)を巧みに組み合わせ、原子分解能とフェムト秒の時間分解能でトンネル電流及び発光を検出できる“極限時空間分光”システムを開拓する。この技術を駆使し、機能性分子や生体系分子の発光機構、振動状態の制御を実現する。
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研究実績の概要 |
極限的な時空間で電子状態や帯電状態を精密制御し、物質の構造や機能を実空間・実時間で自在に操作することは、ナノ科学、材料科学分野にとって最重要課題の1つである。本研究では、位相制御した遠赤外(テラヘルツ:THz)~中赤外(MIR)パルスと走査トンネル顕微鏡(STM)を巧みに組み合わせ、原子分解能とフェムト秒の時間分解能でトンネル電流及び発光を検出できる“極限時空間分光”システムを開拓する。この技術を駆使し、単一分子発光ダイナミクスの検出と制御、半導体表面・界面の光励起キャリアや振動ダイナミクスの検出と制御、ナノスケール相変化の観測と制御を実現する。 2022年度は、主に、(1)フタロシアニン(Pc)をテスト分子とした単一分子発光の検出と励起状態制御、(2)有機薄膜や原子層物質を用いた光励起キャリアのダイナミクス計測、(3)相変化材料のTHz電場駆動ナノスケール相変化の観測を行った。(1)においては、THzーSTM発光分光により世界ではじめてPc単分子の発光を検出するとともに、発光強度がTHzの位相により制御できることを見出した。(2)においては、THzおよびMIR-STMを駆使し、MoTe2や単原子層物質のキャリアダイナミクスを明らかにした。(3)においては、THz照射により、新規相変化材料Cr2Ge2Te6の表面にナノスケールでアモルファス・結晶相変化を誘起することに成功した。 これらを通して、構築した極限時空間分光技術が、ナノスケールの物性観測・制御に極めて有効であることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、世界に類を見ない2つの分光技術(位相制御THz-STM発光分光およびMIR-STM)を開発し、これらを統合した極限時空間分光システムにより、THz~MIRの周波数帯域において多様な物性を極限的時空間で操作・制御するものである。すでに位相制御THz-STMが3研究機関で構築され、理研においてはTHz-STM発光分光システム、筑波大においてはMIR-STMが稼動している。THz-STM発光分光システムでは、世界ではじめて単分子からのTHz電場誘起発光の観測に成功し、THz波の位相制御により発光強度が変調されること、すなわち「単分子の励起状態」を操作できることを示した。MIR-STMシステムでは、30フェムト秒というこれまでに未踏の時間分解能で原子スケールのポンプ・プローブ分光ができることを示した。また、位相制御THz-STMでは、探針増強THz近接場を利用したナノスケール相変化を実現できた。更に、THz位相技術を通常の物性計測にも適用し、単原子層物質のコヒーレントフォノン生成の起源を明らかにできた。 これらは、いずれも物質科学に新風を巻き起こす成果であり、「当初の計画以上に研究が進展している」ものと自負する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、各々の研究機関において、構築したTHz-STM、MIR-STMを利用した物性計測を加速させる。フタロシアニン単分子においては、時間遅延を付与した2つの位相制御THzパルスにより時間分解計測を試み、世界初の単分子発光ダイナミクスの観測に挑戦する。また、ストリークカメラなどによるダイナミクス計測も視野に入れる。MIR-STMでは、半導体表面界面での励起キャリアの時空間発展を明らかにする。相変化材料においては、位相制御THz-STMを駆使して、アモルファス表面上にナノスケールの結晶相描画(あるいはその逆)を行い、超高密度記録材料作製の基本原理を構築する。 これらを通して、極限時空間分光の先進性・優位性をアピールし、ナノ科学、材料科学分野全般に波及するナノ計測技術に仕立てる。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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