研究課題/領域番号 |
20H05671
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分E
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西林 仁昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40282579)
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研究分担者 |
吉澤 一成 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (30273486)
坂田 健 東邦大学, 薬学部, 教授 (90328922)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
199,680千円 (直接経費: 153,600千円、間接経費: 46,080千円)
2023年度: 27,300千円 (直接経費: 21,000千円、間接経費: 6,300千円)
2022年度: 27,560千円 (直接経費: 21,200千円、間接経費: 6,360千円)
2021年度: 41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2020年度: 75,530千円 (直接経費: 58,100千円、間接経費: 17,430千円)
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キーワード | アンモニア / 触媒 / 窒素固定 / 理論計算 / 窒素分子 / モリブデン / コバルト / マンガン / 触媒反応 / レニウム / クロム / ヒドラジン |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに達成した一連の研究成果を踏まえて、ハーバー・ボッシュ法に代わる実用的な次世代型アンモニア合成法として適用可能な従来の触媒能を凌駕する超触媒と反応系の開発を行うことが本研究の主目的である。同時に、アンモニアからエネルギーを取り出す方法の開発に該当するアンモニアの触媒的分解反応の開発にも取り組む。本研究で取り組む研究課題を以下に挙げる。 研究課題1:従来の触媒能を凌駕し実用化可能な超触媒の開発 研究課題2:実用化可能な触媒的アンモニア合成反応系の開発 研究課題3:アンモニアの触媒的分解反応の開発
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研究実績の概要 |
本研究代表者らは、ごく最近に常温常圧の極めて温和な反応条件下で、窒素ガスから水をプロトン源に用いて触媒的にアンモニアを高効率に合成する手法の開発にごく最近に成功した。これまでに開発した一連の触媒を超える「超触媒」の開発とこれを利用した反応性が極めて低い窒素分子の革新的な分子変換反応の開発を行うことが本研究の主目的である。同時に、アンモニアからエネルギーを取り出す方法の開発に該当するアンモニアの触媒的分解反応の開発にも取り組む。得られる研究成果は、錯体化学や触媒化学などの直接関連する研究分野はもちろん、関連する幅広い研究分野にも大きなインパクトを与えることが期待される。 本年度は3つの研究課題の内、研究課題3について報告する。 研究課題3:アンモニアの触媒的分解反応の開発 ルテニウム錯体を用いたより高活性な反応系を開発することを目的として、軸配位子について詳細な検討を行ったところ、ピリジン誘導体の代わりにフラタジンを用いた場合に、従来の触媒能を大きく凌駕する触媒当たり260当量の窒素ガスの発生が確認された。本研究成果は、近年に世界的に極めて活発な検討が行われている分子触媒として用いた触媒的アンモニア分解反応の報告の中でも、世界最高値を達成したものである。分担者である坂田先生による理論計算により、フラタジン配位子はより強固にルテニウムに配位しており、軸配位子の解離が触媒の失活を防いでいることを明らかにした。本研究成果は既に論文として投稿済である。 貴金属の一種であるルテニウムの代わりに、安価で入手容易な卑金属であるマンガンを含む分子触媒として利用した新しい反応系の開発に成功した。サレン配位子を持つマンガン錯体が触媒的アンモニア分解反応において有効に働くことを明らかにした。これは、マンガン錯体を分子触媒として利用した世界で初めての成功例である。本研究成果は既に論文として発表済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗は、研究申請書で提案した研究計画に従って、当初の予定通り順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題2について、次年度以降に検討予定の項目を抜粋して説明する。 研究課題2:実用化可能な触媒的アンモニア合成反応系の開発: 電気化学的還元手法により再生可能なコバルトセンやクロムセンなどのメタロセンを還元剤として用いて電気化学的還元手法による触媒的アンモニア合成反応の開発に取り組む。特に、クロムセンを還元剤として用いた場合には、クロムセンの触媒化に成功した予備的知見を見出している。既に見出している予備的知見を踏まえて、より高活性な反応系の開発に取り組む。当初の申請書に記載している内容についても継続して検討を行う予定である。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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