研究課題/領域番号 |
20H05686
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分G
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白髭 克彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (90273854)
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研究分担者 |
須谷 尚史 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (30401524)
中戸 隆一郎 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (60583044)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
197,340千円 (直接経費: 151,800千円、間接経費: 45,540千円)
2024年度: 30,940千円 (直接経費: 23,800千円、間接経費: 7,140千円)
2023年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2022年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2021年度: 42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2020年度: 47,580千円 (直接経費: 36,600千円、間接経費: 10,980千円)
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キーワード | 染色体高次構造 / 染色体動態 / コヒーシン / エンハンソソーム / 転写制御 / リモデリング複合体 / ヒストン密度 / in vitro転写系 / ATPase / 転写伸長反応 / コヒーシンローダー / prefab |
研究開始時の研究の概要 |
コヒーシンは真核細胞の染色体高次構造制御において中心的な役割を果たすタンパク質複合体であり、近年、ATP依存的にDNAにループ構造を導入するモーター活性を有することが示されてきている。その役割は、発生・分化制御やがん悪性化において重要な役割を果たすことが示唆される。一部のエンハンサーDNA上には「液-液相分離」に支配される不定形で動的な巨大タンパク質ネットワークが形成されていると報告されているが、本研究は、エンハンソソームによる転写伸長制御反応を特にコヒーシンに焦点を当てて分子的に理解すること、その生理的意義を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
コヒーシンの転写調節機能を探るため、オーキシンデクロンシステムを用いてコヒーシンのサブユニットRad21を急速に分解除去し、転写産物量やRNAポリメラーゼII(Pol II)の染色体上での分布を調べた。トータルRNA-seq、新生RNAのみを検出するEU-seqを行い、コヒーシンの除去は一部の遺伝子の発現のみ変動させ、大部分の遺伝子では発現変動が見られないことがわかった。しかし、Pol IIのプロモーター結合は減少するがプロモーター近傍での一時停止が減少することがPol IIのChIP-seqにより明らかになった。 Pol IIの一時停止のステップへの進行を阻害すると、プロモーター結合の減少が見られなくなった。これらのことから、コヒーシンの除去により一時停止が不安定化し、Pol IIのプロモーターからの乖離が促進し、同時に遺伝子内部への流れ込みも増加していることが示唆された。そして、Pol IIの一時停止から伸長反応への移行を促す転写伸長因子複合体のプロモーターへのリクルートが、コヒーシン除去により増加しており、このことが一時停止を不安定化させていると考えている。 伸長反応中のPol IIとPAF1の相互作用がコヒーシン除去により減少していることも観察され、コヒーシン除去はPoll IIの一時停止だけではなく伸長反応の制御にも関わっていると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コヒーシンが転写のどの局面で必要であるかについて極めて重要な知見がもたらされ、さらに、その結果としての転写以上の実態も明らかとなった。まとめに向けて順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
コヒーシンの欠損によって異常な構造を持つRNAが作られていること、そして、コヒーシンそのものがRNAポリメラーゼ複合体の成熟に役割を持つことを示せたことは独自の成果と言える。今後はそのメカニズムに踏み込むべく、特にコヒーシンが具体的にどのような分子メカニズムで上記の経路に寄与しうるのかを明らかにする必要がある。一つにはRNAチェックポイントで破壊されていると考えられるRNAの実態を明らかにすることである。様々なRNA分解酵素のKDをコヒーシンAID株を用いて系統的に行い、total RNA-seqを行うことで異常構造RNAについて系統的に明らかにする。現在、クライオ電顕を用いATPase activeなコヒーシンと結合しているポリメラーゼ複合体の構造、コヒーシン非存在下でのポリメラーゼ複合体の構造を明らかにしようと共同研究を推進しており、これにより具体的にどのステップにコヒーシンが必要化を明らかにできることを期待している。また、今までコヒーシンが役割を持つのはCdk9による転写複合体の活性化後であるという研究成果が得られているため、コヒーシンATPaseがCdk9によって活性化する可能性を考え生化学的、細胞生物学的解析を進める。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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