研究課題/領域番号 |
20H05688
|
研究種目 |
基盤研究(S)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分G
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90280734)
|
研究分担者 |
田畑 秀典 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 室長 (80301761)
大石 康二 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任准教授 (80420818)
|
研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
196,690千円 (直接経費: 151,300千円、間接経費: 45,390千円)
2024年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2023年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2022年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2021年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2020年度: 42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
|
キーワード | 脳皮質 / 発生分化 / 形態形成 / 神経細胞 / グリア細胞 / 発生・分化 |
研究開始時の研究の概要 |
脳の神秘的な機能を支える皮質組織の三次元的な基本構造が、それを構成する細胞たちの相互作用を通して発生期に適切に構築されていくメカニズムを明らかにすることを目指す。具体的には、神経細胞による層構造などの形態形成機構、及び、脳機能に積極的に関与し神経細胞より圧倒的に多く存在するグリア細胞であるアストロサイトについて、どこでどのように産生され皮質内に広く分布していくのかを明らかにしたい。
|
研究実績の概要 |
大脳新皮質では、領域によって神経細胞の産生時期や細胞構築が異なることが知られている。皮質の三次元的な基本構造が神経細胞移動の制御を通して発生期に構築されていくメカニズムを明らかにする基盤として、まずは移動プロフィールの全体像を明らかにした。従来のチミジンアナログ(TA)を用いた解析では移動の開始点を区別できないため、本研究では移動開始点を明確にするため脳室内に蛍光色素を注入するフラッシュタグ法(FT)を応用した。まずFTが、注入直後に脳室面で分裂する細胞集団のみを高い時間分解能でラベルできることを確かめた。その上で胎生の特定の時期にFTでラベルを行い、2日後にラベルされた細胞の分布を調べたところ、背内側では脳表面に到達していたが、背外側では多くの細胞が移動中間点付近にあるサブプレート下に観察された。この明瞭な領域差は同時に行ったTAによるラベルでは明らかでなかった。様々な時期での観察から、移動プロフィールは発生時期依存的に内外側で異なることが判明した。また、神経細胞移動の領域差の少なくとも一部はサブプレート細胞によって制御されると考えられる結果を得た。 また、アストロサイト前駆細胞を出生直後の生きた個体の脳表面から2光子顕微鏡を用いて観察し、erratic migrationと命名した特徴的な移動や血管に沿った移動がスライス培養のartifactではなくin vivoで確かに存在することを証明した。 さらに、小脳の脳回形成については、プルキンエ細胞に発現するリーリン受容体を阻害することによって障害されることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい解析手法を用いて、従来の方法ではわからなかった現象を含め、大脳皮質全体の神経細胞移動プロフィールの全貌を明らかにすることができた。また、これまでスライス培養で見出していたアストロサイト前駆細胞特有の移動様式が、生きた動物でin vivoにおいても観察できることを、難易度の高い2光子顕微鏡を用いて証明できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
Reelin直下で移動を終えたばかりの細胞群に発現する細胞接着分子を検索したところ、候補分子を見出したので、機能解析を進める。また、アストロサイト前駆細胞の血管に沿った移動を担う分子の候補について、CRISPR/Cas9系とトランスポゾンを使った子宮内電気穿孔法を組み合わせることによって検討する。さらに、アストロサイトの産生自体を制御する因子の解析も進める。
|
評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
|