研究課題/領域番号 |
20H05699
|
研究種目 |
基盤研究(S)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分I
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 高宏 九州大学, 医学研究院, 教授 (00791972)
|
研究分担者 |
山内 拓司 九州大学, 大学病院, 助教 (20796213)
野上 順平 九州大学, 医学研究院, 助教 (60801751)
増田 豪 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (70383940)
仙波 雄一郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (90816787)
|
研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
196,690千円 (直接経費: 151,300千円、間接経費: 45,390千円)
2024年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2023年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2022年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2021年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2020年度: 42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
|
キーワード | 急性白血病 / TP53 / p53 / 合成致死 / CRISPR / AML / ALL / BCL2 / CRSPR/Cas9 / BCL2阻害剤 / 急性骨髄性白血病 / 急性リンパ性白血病 / CRISPR/Cas9 / 機能ジェノミクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、白血病難治性の分子メカニズムを解明し、新規治療法開発に向けた知見を創出することである。具体的には、機能ジェノミックス法を駆使して、3つの目的を達成する:1) 難治性を規定する遺伝子異常と合成致死関係にある遺伝子を同定し、その分子機構を解明する; 2) 薬剤耐性に関わる遺伝子や、薬剤併用療法の標的となる遺伝子を網羅的に同定し、その分子機序を解明する;3)同定分子を標的とした薬剤開発にむけた proof of concept を創出する。本研究により、難治性白血病に対する新規治療標的の同定、薬剤併用療法法の開発、白血病細胞の増殖、生存、薬剤耐性獲得に関わる分子機構の解明につながる。
|
研究実績の概要 |
目的1:白血病難治性を規定する遺伝子異常と合成致死関係にある遺伝子の同定とその分子機構の解明: Trp53と合成致死関係にある遺伝子としてXpo7を同定し、Xpo7と結合し、かつXpo7の欠失によって細胞内局在が変化する因子としてNpatを同定した。Trp53欠損AML細胞でのみNpatタンパクの発現を認め、NPATがTP53変異細胞の増殖にとってbottleneckである可能性が示唆された。ヒト・マウスTP53欠損・変異AML細胞株において、dTAGによりXPO7/NPATタンパクを急性に分解させ、細胞増殖、細胞周期、アポトーシスに及ぼす影響を検討した。 次に、各種細胞株をマウスに移植し、XPO7/NPAT阻害のin vivoでの抗白血病効果を確認した。さらにヒトTP53変異AMLにおける、NPAT/XPO7の意義を、TCGA, BeatAMLのコホートで検討し、自施設検体を用いて1細胞レベルでのXPO7/NPAT発現とTP53変異状況との関連を見出した(Semba et al. under review)。IGH-CRLF2再構成ALLに対する新たな治療戦略を見出した(Sasaki et al. Blood 2022) 目的2:白血病キードラッグに対する耐性機構の解明と、新規併用療法開発に向けた標的分子の同定: AMLにおけるVenetoclax感受性を制御する機構を見出し報告した(Nakao et al. Leukemia 2003)。ALLにおけるステロイド感受性にmTOR経路が重要であることを見出し報告した(Imanaga et al. Blood Neoplasia in press)。また、ALLにおけるSelinexor感受性に、DDXタンパクによるMCL1のmRNAの各輸送が重要であることを見出した(Terasaki et al under review)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で予定していた研究目標はほぼ達成され、関連した5報の論文発表をおこなった。 1. Yamauchi T et al. Leukemia. 2022 Feb;36(2):383-393; 2. Sasaki K et al. Blood. 2022 Feb 3 ;139(5):748-760; 3. Swartzel JC et al.ACS Chem Biol. 2022 Jul 15;17(7):1789-1798; 4. Nakao F et al. Leukemia. 2023 May;37(5):1028-1038; 5. Imanaga et al. Blood Neoplasia. in press さらに、TP53変異AMLに対する新規治療標的に関連する論文(Semba et al)、Selinexor感受性に関する論文(Terasaki et al)が現在投稿中であり、2024年度中には論文発表する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、CRISPR/Cas9全ゲノムスクリーニングを用いて、新規治療標的となりうる分子・系路の同定を行ったが、同定分子を標的とする低分子化合物の同定には到っていない。次年度は本研究課題の最終年度となるが、分子同定から創薬への道筋を探る予定である。実際、DEL (DNA encoded linrary)を使用した化合物スクリーニングを行っている。さらに、薬剤耐性の機序として、遺伝子の発現レベルの関与を継続して検討すると同時に、遺伝子欠損を伴わない細胞内の変化(エピジェネティクス、メタボロームなど)を1細胞レベルでスクリーニングする系を構築中である。
|
評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる
|