研究課題/領域番号 |
20H05700
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分I
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
澤本 和延 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90282350)
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研究分担者 |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00281824)
木村 幸太郎 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20370116)
財津 桂 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30700546)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
155,870千円 (直接経費: 119,900千円、間接経費: 35,970千円)
2024年度: 30,940千円 (直接経費: 23,800千円、間接経費: 7,140千円)
2023年度: 31,070千円 (直接経費: 23,900千円、間接経費: 7,170千円)
2022年度: 34,190千円 (直接経費: 26,300千円、間接経費: 7,890千円)
2021年度: 29,770千円 (直接経費: 22,900千円、間接経費: 6,870千円)
2020年度: 29,900千円 (直接経費: 23,000千円、間接経費: 6,900千円)
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キーワード | 再生医学 / 神経化学 / 脳・神経 / 脳神経疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、ヒト新生児期の脳でも新しいニューロンが神経幹細胞から継続的につくられていることが明らかになった。正常な脳発達において新生児期のニューロン新生が重要な役割を担っていると考えられるが、その詳細な分子機構や新生児脳障害による影響は未だ不明な点が多い。本研究では、最近我々が確立した複数の先端分析技術を駆使し、新生児期における脳細胞の移動・成熟の過程を明らかにする。これによって、新生児期の脳発達や恒常性維持におけるニューロン新生のメカニズムが解明されるとともに、早産などで生じる発達障害の病態解明や新たな治療法の開発にも貢献する。
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研究実績の概要 |
生後脳におけるニューロン新生と細胞移動・成熟の過程を、先端分析技術を駆使して大規模・高解像度に研究し、その特徴を明らかにするとともに、脳障害の病態を解明することを目的として、以下の研究を実施した。 (1)生後のニューロン新生と細胞移動を支える組織構築の三次元微細形態解析:神経幹細胞および移動する新生ニューロンの微細形態と接着様式などを三次元的に 理解するため、連続ブロック表面走査型電子顕微鏡(SBF-SEM) による観察を実施した。昨年度までに撮像した画像を引き続き解析した結果、広範囲にわたる電子顕微鏡画像の3次元構築像を得る事ができた。それにより、脳室下帯に存在する細胞群の微細形態学的な特徴について新しい情報が得られた。 (2)ニューロン新生・移動を制御する分子のスクリーニング:マウス脳室下帯の細胞集団の単一細胞網羅的遺伝子発現解析(scRNAseq)を実施している。細胞ごとの遺伝子発現情報を詳細に分析することにより、細胞の変化に関する情報が得られた。 (3)新生児期のニューロン新生機構と早産による影響:正期産・早産マウスの脳室下帯細胞の微細形態および細胞間の接着関係を比較解析を継続した。また、探針エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(PESIMS/MS)を用いて得られた情報とscRNAseqのデータを統合し、早産で変化する代謝経路に関連した遺伝子群を特定した。 (4)新生児期のニューロン新生・移動を調節する分子機構と操作技術の開発:昨年度までの研究によって抽出された分子群を、ウイルスベクター等による遺伝学的手法又は薬理学的な方法で操作し、新生児期における機能を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SBF-SEM解析を継続し、従来よりも大規模な3次元細胞像再構築像を得ることができた。これにより、脳室下帯に存在する細胞群の接着関係や全体の構造を初めて理解することができた。scRNAseqとメタボロームのデータを統合し、新生児期の神経幹細胞における代謝変化に連動して発現が変化する遺伝子についての情報が得られた。応募時に提案した各項目の研究計画については、大部分が完了し、新生児脳のニューロン新生とその病態に関する多くの知見が得られた。成果を複数の論文にまとめ、投稿中または作成中となっている。 従って、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)生後のニューロン新生と細胞移動を支える組織構築の三次元微細形態解析:三次元電子顕微鏡技術等を用いて明らかになった、脳室下帯を構成する細胞群の形態学的特徴と接着様式の解析を完了し、成果を論文にまとめる。 (2)ニューロン新生・移動を制御する分子のスクリーニング:脳室下帯細胞のscRNAseq解析によって示唆された、脳室下帯に存在する各細胞群の変化を実験によって確認にする。scRNAseqによって得られる遺伝子発現情報とメタボローム解析によって得られた代謝産物のデータを統合して得られる情報をさらに詳細に解析する。 (3)新生児期のニューロン新生機構と早産による影響:早産マウスの脳における新生ニューロンの移動効率をさらに詳細に解析し、正期産マウスと比較する。ヒトに類似した脳構造を有するモデル動物の神経幹細胞、前駆細胞および新生ニューロンの形態や遺伝子発現をさらに詳しく解析し、マウスとの違いを検討する。 (4)新生児期のニューロン新生・移動を調節する分子機構と操作技術の開発:これまでの解析から見いだされた新生児期のニューロン新生等に関与する分子メカニズムについて、引き続き各々の機能を解析するとともに、それらを操作することによってニューロン新生と脳機能の発達を改善させる方法を検討する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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