研究課題/領域番号 |
20H05705
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分J
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神谷 之康 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50418513)
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研究分担者 |
阿部 修士 京都大学, 人と社会の未来研究院, 准教授 (90507922)
柳澤 琢史 大阪大学, 高等共創研究院, 教授 (90533802)
塚本 光昭 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究技術員 (00514481)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
196,690千円 (直接経費: 151,300千円、間接経費: 45,390千円)
2024年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2023年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2022年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2021年度: 38,610千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 8,910千円)
2020年度: 42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
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キーワード | ブレイン・デコーディング / 認知科学 / 神経科学 / イメージ / 錯視 / デコーディング / 夢 |
研究開始時の研究の概要 |
イメージは心の状態を構成する重要な要素である。多様なイメージは脳内でどのように生成されるのであろうか? 従来の心理学や認知神経科 学では、心的イメージは間接的な行動指標によって計測され、具体的なイメージ内容を可視化して解析することは困難であった。申請者らは、 深層ニューラルネットワークを用いた脳情報デコーディングという独自の技術を世界に先駆けて開発し、知覚・想起イメージの一部の可視化に 成功している。本研究では、イメージの階層的情報処理という視点から上述の可視化アプローチを拡張し、多様なイメージが生成される脳部位 や情報処理方式を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、心的イメージを脳活動パターンから客観的に可視化するための方法の開発と検証実験を進めてきた。特に、錯視図形を見ているときの脳活動から心的イメージを再構成する手法の完成と確証実験に取り組んだ。被験者が錯視図形を見ているときの脳活動データを取得し、開発した手法を用いて心的イメージの再構成を行った。再構成された画像は、被験者の主観的な錯視体験と一致していることが確認され、視覚皮質の異なる領域が主観的輪郭とネオンカラーの表現に関与していることが明らかになった。これらの結果は、脳が限られた感覚入力からどのように世界を推測しているかを理解する上で重要な知見であり、Science Advances誌に発表された。また、心的イメージ再構成の精度向上を目指し、訓練データの取得法の改良にも取り組んだ。従来の刺激提示時の脳活動データだけでなく、直前の刺激を想起し続ける区間を設けて訓練データに使用することで、実験条件の最適化を行った。この改良により、より詳細な心的イメージの再構成が可能になることが期待される。さらに、新たに開発した個人間脳活動変換手法を応用し、ECoGデータを事前訓練したfMRIデコーダで解析する手法の探索を行った。現時点では精度の大幅な改良には至らなかったが、手法の洗練により、異なる計測手法で取得されたデータを統合的に解析することが可能になると考えられる。本研究の成果は、主観的な心的イメージを客観的に可視化する技術の発展に寄与するものであり、錯視や夢など、これまで解明が難しかった主観的体験のメカニズムを理解する上で、重要な役割を果たすことが期待される。今後は、さらなる手法の改良と、他の主観的体験への適用を進めていくことで、心的イメージ研究の新たな地平を切り開いていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトは全体として順調に進展しているが、ECoG,MEGデータの取得・解析については、やや進捗が遅れている。2023年度中に京都大学の泉 英樹、大塚健矢がメンバーとして加わり、実験・解析のサポートに従事した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの最終年度にあたり、これまでの研究成果を総括し、主観的イメージの可視化技術の確立と体系化を目指す。具体的には 以下の点について研究開発を進める。 (1) 想起イメージ再構成のための新たな実験プロトコルの確立。これまでの研究で得られた知見を元に、被験者の想起イメージを効果的に引き出し、再構成精度を向上させるための新たな実験プロトコルを考案する。 (2) 画像再構成の数理的基礎づけ。画像再構成技術の理論的裏付けを強化するため、数理的なアプローチによる基礎づけを行う。 (3) 生成AIを用いた視覚像再構成手法の批判的検討とガイドラインの提示 近年の生成AIの発展を踏まえ、これらの技術を視覚像再構成に応用する際の課題と可能性について批判的に検討する。 (4) fMRI、MEG、ECoG間のコード変換を介した画像再構成 異なる脳活動計測手法であるfMRI、MEG、ECoGのデータを相互に変換し、それぞれの長所を活かした画像再構成を試みる。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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