研究課題/領域番号 |
20H05708
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分K
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉岡 敏明 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30241532)
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研究分担者 |
熊谷 将吾 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40757598)
福島 康裕 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (40345096)
大野 肇 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (20769749)
齋藤 優子 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30712575)
白鳥 寿一 東北大学, 環境科学研究科, 客員教授 (20396469)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
199,810千円 (直接経費: 153,700千円、間接経費: 46,110千円)
2024年度: 31,590千円 (直接経費: 24,300千円、間接経費: 7,290千円)
2023年度: 32,110千円 (直接経費: 24,700千円、間接経費: 7,410千円)
2022年度: 32,110千円 (直接経費: 24,700千円、間接経費: 7,410千円)
2021年度: 29,380千円 (直接経費: 22,600千円、間接経費: 6,780千円)
2020年度: 74,620千円 (直接経費: 57,400千円、間接経費: 17,220千円)
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キーワード | ハロゲン・塩素循環 / プラスチックリサイクル / アルカリ工業 / 演繹的LCA / 環境影響評価 / ハロゲン / 塩素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
プラスチックの生産量・使用量・廃棄量は世界的に今後も増大が見込まれるが、リサイクルの際は手法に依らずハロゲン対策が共通のボトルネックとなる。そこで本研究では脱ハロゲン技術開発を基軸として、ハロゲンを「制御」し循環・有効利用する技術展開性を解明するとともにその技術体系化に挑む。さらに、同時並行的にマテリアルフロー解析、演繹的ライフサイクルアセスメント、国際政策動向分析を行い各々の研究を連携させることで、技術・環境・経済社会の複合的アプローチからの学理究明を目指し、リサイクル技術の望ましい社会導入速度や技術展開を解明するための研究を行う。
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研究実績の概要 |
令和3年度は脱ハロゲン処理技術・プロセス開発のために卓上ボールミル反応器(溶媒 500 mL)を導入し、スケールアップ検討、各種パラメータ(温度、溶媒、反応器回転数、投入するステンレスボールの数や大きさ等)の影響の検討を行った。また、脱塩素後のEG溶液から塩素を回収する電気透析法においてもラボスケール(EG 0.2 L,膜数5対)からベンチスケール(EG 3~4 L,膜数60対)へのスケールアップ検討を開始した。耐アルカリ性カチオン・アニオン膜を用いて、電圧、流量等が塩素回収率や水・EG浸透率に及ぼす影響について検討を行った。さらに、プラスチックに添加される臭素系難燃剤に着目し、廃電子基板からの脱臭素実験に着手した。また、フッ素含有製品について調査したところ、太陽光パネルのバックシートにポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられていることがわかった。将来大量の使用済み太陽光パネルの排出が見込まれることから、リサイクル技術検討のため太陽光パネルバックシートの加水分解実験を開始した。 一方で、国際MFAを実施するための情報収集とモデル化を進め、初期的な検討結果を得ることができた。具体的にはソーダ工業や塩田に関する情報、関連各国における輸出に関連する港の情報、PVCの廃棄量、電力のCO2排出原単位などに関するデータを整理し、モデル化した。また産業連関MFAを応用した動的手法であるMaTraceを用いて、PVCの使用形態遷移を可視化し、動的マテリアルフロー解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究遂行の中で、脱臭素への鉄の寄与が明らかとなり、当初想定していなかった知見の蓄積を進めている状況にある。また、現在フッ素含有製品のサーベイを行っているが、太陽光パネルのバックシートにフッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン)のものがあることがわかった。再生可能エネルギーとして太陽光発電の導入が進んでいるが、将来的に使用済み太陽光パネルの排出が見込まれリサイクル技術の開発が望まれている。本研究ではこれに寄与する基盤研究に着手しており、当初計画の域を超えた知見の蓄積を進めている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
脱塩素実験においては各種パラメータの影響を整理し、プロセス後段の塩素回収プロセス(電気透析)との接続を考慮した技術開発を行う。電気透析プロセスにおいては、イオン交換有効面積や温度等の新たな因子も考慮する。また、脱塩素工程で溶媒に加える水酸化ナトリウムの影響等に関する検討を行う。 さらに、脱臭素、脱フッ素処理に関する検討を進める。廃電子基板からの脱臭素処理においては、脱臭素処理後に存在する臭素系化合物の同定を試みる。 一方で、脱塩素プロセスをどこの国に配置すべきかについて、温室効果ガス排出量と塩田面積位の2目的について多目的最適化ができるモデルを構築し、結果の論文化を実施する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの進展が認められるが、一部に遅れが認められる
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