研究課題/領域番号 |
20J00738
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2022) 国立民族学博物館 (2020) |
研究代表者 |
楠 和樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アフリカ / 国家 / 統治性 / 牛疫 |
研究開始時の研究の概要 |
近年アフリカの国々では、越境性動物疾病の対策が策定、実施されている。この問題については、多様な分野の専門家が分野の境界線を越えて連携する動きが広がっている。そうしたなかで、感染症対策において人間と非人間の動物の生存と健康や、それらに関する知識がどのように「もつれあっている」のかへの関心が、人類学者のあいだで高まっている。本研究では、ケニアの牛疫対策を事例としながら、越境性動物疾病対策が策定され、実施される過程で人間と非人間がどのように「もつれあっている」のかを明らかにすることを試みる。それによってこの地域の国家を非人間を含む生き物の集合的な統治という視点から捉えなおすことを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ケニアの牛疫対策を事例として越境性動物疾病対策が策定され、実施される過程を分析することである。 最終年度に当たる令和4年度は、前年度までに収集した歴史資料の整理と分析をおこなうとともに、ケニアで現地調査を実施した。現地調査では、これまでフィールドとしてきたカジァド・カウンティにおいて、牧畜民のマサイを対象として過去の牛疫の流行時の経験について聞き取り調査をおこなった。牛疫はもっとも危険な動物感染症のひとつであり、ヨーロッパ諸国では18世紀以降大規模な流行が繰り返されていたものの、獣医師の養成や国際会議の開催などの対応が整備された結果、20世紀初頭までにはほぼ撲滅されていた。それに対して、ケニアをふくむアフリカの国々に牛疫のウイルスが到来した時期は比較的遅く、その制圧にもより多くの時間がかかった。牛疫はケニアで19世紀末からたびたび発生し、2001年に最後の事例が報告されるまで、とくに家畜への依存度の高い生活を送っていた牧畜民に深刻な被害をもたらしていた。行政資料の分析によって、マサイは当初ワクチン接種などの国家による介入に対して非協力的な態度をとったことが分かった。これは、当時のワクチンの精度の問題にも起因している。度重なる感染症の流行によって家畜に甚大な被害が及ぶにつれて、彼らは徐々に近代的な対策を受け入れるようになったこと、それにともなって在来の対策実践にも変化が生じたことが聞き取り調査によって明らかになった。 以上の研究の成果の一部は、9月に開催された研究会で発表をおこなった。また、令和4年度中に刊行することはできなかったものの、論文2本(採録決定済)とワーキングペーパー1本を執筆した。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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