配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究実績の概要 |
本研究の最初の目標はシュタルク効果を利用した分子や分子クラスターの量子状態選別である。永久双極子を持つ分子が電場の中に置かれたとき、分子はそのエネルギーに摂動を受ける。これをシュタルク効果と呼ぶ。気相の分子が不均一な電場を通過するとき、位置によって分子の感じるシュタルクポテンシャルの傾斜からその飛行軌道が変化するが、この時分子の感じる力はその量子状態や永久双極子に依存するために、分子やクラスターを空間的に分離することができる。このシュタルク効果による飛行軌道の変化は理論的に予測が可能であり、初年度の目標はこのシミュレーションプログラムの作成であった。これは実験結果との照らし合わせによって、相互にその量子状態選別の結果を確認するためのものであり、また将来においては新しい実験の設計のための基礎となる道具でもある重要なものである。 過去には実験毎にプログラムを用意してきたが、汎用性の高いものを作れば使いまわせるロジックは多く、バグの混入も避けられると期待できる。プログラム設計としては実験装置の配置を表現する部分、分子のシュタルク効果を見積もる部分、実際にモンテカルロシミュレーションを実行する部分に分けることで、装置の改良や新しい分子の導入も少ない労力で表現することを可能にした。シミュレーションプログラムの実装には Julia 言語を用いている。これまでに実装の確認として過去の別グループによる計算を再現できた。(de Nijs, A. J. et al. Phys. Chem. Chem. Phys. 2011, 13 (42), 19052., Ohoyama, H. et al. J. Phys. Chem. 1995, 99 (37), 13606-13610. )今後は当研究室の実験結果を増やしてより詳細な評価を行っていく。
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