研究課題
特別研究員奨励費
膵癌は再難治癌の一つであり、その病態解明と新規治療法の開発が急務である。膵癌の詳細な病態は徐々に明らかにされているが、詳細なメカニズムは未だに不明な点が多い。申請者らはこれまでにHes1が膵発癌において重要な役割を果たすことを明らかにした。そこで本研究では、新規マウスモデル及び、オルガノイド培養を用いることで、さらなる機能解析および、膵癌の新しい治療標的を探索することを目的とした。
膵癌は本邦における悪性腫瘍死亡原因の第4位を占める最難治癌の一つであり、その病態解明と新規治療法の開発が急務となっている。膵癌は多数の遺伝子異常の蓄積により多段階的に発癌することが知られており、なかでもKRAS遺伝子変異は極めて重要な役割を担うと考えられているものの、その詳細な分子メカニズムには未だ不明な点が多い。申請者らは、これまでに膵癌マウスモデルおよび細胞株を用いた研究により、Hes1が変異Krasによる膵発癌(initiation)において重要な役割を果たすことを明らかにした。しかしながら、これまでの研究は、膵発癌におけるHes1の役割を明らかにしたのみであり、形成された膵癌におけるHes1の役割は不明であった。そこで本研究では、新規マウスモデル及び、オルガノイド培養を用いることで、膵癌の進行・維持におけるHes1の役割を明らかにし、膵癌の新しい治療標的を探索することを目的とした。令和3年度までの研究で、Hes1がPanINのinitiationにおいて腫瘍促進的な働きを行うものの、膵腫瘍形成のprogressionにおいてむしろ逆であり、膵腫瘍形成のphaseによってHes1の果たす役割が異なる可能性が示唆された。膵癌細胞株を用いた検証で、Hes1の欠損が腫瘍の悪性度の増悪につながることが判明し、さらにそれがMuc5acの制御を介していることが示唆された。そのため、令和4年度は、上記のマウス膵癌由来細胞株の解析を進め、(1)Hes1がMuc5acを介した悪性度の制御のさらなるメカニズムの解明を、in vivo・in vitroのモデルを用いて試みる。(2)加えて、ヒト膵癌においても同様の事が生じているか、ヒト膵癌の臨床データなどを用いて検証する。(3)さらに、得られた知見をヒト膵癌の治療に応用可能であるか検討することとした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Gastroenterology.
巻: 163 号: 6 ページ: 1613-1629
10.1053/j.gastro.2022.08.048