研究実績の概要 |
これまでに、私はミトコンドリアと小胞体の膜接触サイト(ERMES)複合体のCryo-EM構造解析を研究活動の中心に据え、チャレンジしてきた。先ず、構築できた高発現株を用いて、ERMES複合体の大量培養・高純度でのアフィニティ精製に成功した。収量は約7 mg/ml、100 μlだった。次に、精製できた複合体を用いて、Cryo-EM グリッドを作成し、Talos Arctica(東大・吉川研)で界面活性剤 (Digitonin と GDN)、サンプル濃度 (5~20 mg/mL)とグリッド (Au and Cu/Rh)の検討を行った。グリッドをスクリーニングした結果、低濃度より高濃度、Cu/RhよりAu、DigitoninよりGDNの方が単分散性と角分布のよい粒子(ミセル-蛋白質複合体)が観察された。そして、Krios G3i_Serial EM を用いて、ERMES複合体の電顕画像を収集し、所属研究室に導入・整備されているCryo-EM workstation を用いて、Relionなどの解析ツールで、単粒子構造解析を行った。また、ERMESの構成サブユニットであるMmm1の膜貫通(TM)領域で小胞体膜に結合,Mmm2-Mdm10によりミトコンドリア膜に結合しているので、Mmm1のTM領域をプロテアーゼで切り除くことによって、ERMES複合体の可溶性が高まり凝集が抑えられる、ナノディスクなどへの再構成が容易になることが期待できるため、(TMΔ-Mmm1-3xFlag, Mmm2-10xHis, Mdm10(Y73A/Y75A)-twin_strep, Mdm12, Vps39Δ)]或いは(GFP_TM-3C_Mmm1-3xFlag, Mmm2-10xHis, Mdm10(Y73A/Y75A)-twin_strep, Mdm12, Vps39Δ)]株の構築・発現を検討している。
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