研究課題
特別研究員奨励費
X連鎖無ガンマグロブリン血症は、BTK遺伝子の変異により、B細胞が欠如し易感染性を示す疾患である。既報のBTK変異は600以上あり、うち約1%は非翻訳領域のものであるが、その詳細な分子病態は明らかではない。本研究は、BTKの転写に関わるエピジェネティックな機序を分子レベルで解明することを通して、分子生物学的な真理解明に寄与したいと考えている。
CRISPR/dCas9システムの構築について:pEF1a-BirA-V5-neoおよびpEF1a-FB-dCas9-puroのプラスミドを購入した(Addgene社)。K562に導入したところ、後者は抗FB抗体によって検出されず安定株が得られなかった。そこで、Inducible Caspex expressionプラスミドを新たに購入した。別途THP-1株に患者由来の変異をCRISPR/Cas9を用い変異株を作成し、野生株と変異株THP-1に導入し安定発現株を作成中である。作成後はguide RNAを用い変異付近にdCas9を誘導し、免疫沈降後に蛋白を抽出しproteome解析を行う。Luciferase assayについて:pGL4.10-luciferase2 vectorに、BTK遺伝子のpromoter領域配列や、同配列に加えintron1の3’配列側1029bpおよびExon2の5’側配列の一部を含むものを挿入したものを作成し、B細胞系株とT細胞系株を用い、Luciferase assayを行った。するとSplice異常が示されているExon1のsplice donor siteの変異では転写活性が上がったが、intron1内の変異では活性が明らかに低下し、intron 1内の変異が転写に影響する可能性が示唆された。ZIP7異常症の解析について:B細胞欠損と無ガンマグロブリン血症を呈した女児で認められたSLC39A7遺伝子の複合ヘテロ接合性変異に関して、一方はZIP7のプロテアソーム分解を促進し、もう一方は小胞体上のZIP7の局在に異常をもたらす変異であることを証明した。この遺伝子がコードする蛋白であるZIP7は細胞内小器官から細胞質への亜鉛輸送を担うっており、B細胞分化やそのほかの免疫細胞の成熟・生存に亜鉛動態が重要となる可能性を示唆することができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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