研究課題
特別研究員奨励費
地球上の生物は、中枢時計、末梢時計から構成される体内時計を持っており、24時間の周期で生体のリズムを制御している。体内時計は光や食事などの同調因子の刺激によって調節されている。光刺激では、刺激の時間帯と影響の大きさを示す位相反応曲線というデザインによって、体内時計が前進する時間帯、後退する時間帯が明らかにされてきた。本研究では、様々な時間帯の運動し、中枢時計および末梢時計に及ぼす影響を調べることで、運動による位相反応曲線を求める。さらに、同じ運動の時間帯における中枢時計と末梢時計に及ぼす影響の違いや、各時間帯の運動による血糖変動への影響も明らかにする。
主に申請課題に関連する論文や学位論文の執筆および学位取得、共同研究などを実施していた。一方で、申請課題は、ヒトを対象とした長時間測定が必要な研究のため、コロナウイルス蔓延の影響で数名しか測定できず、短期間で測定可能な実験も考案したが、こちらもほとんど測定できなかった。そのため、これまでの研究活動で学んだことをOpinion Paperとしてまとめ執筆、投稿している。また、検体の採取回数・頻度、口腔粘膜による評価方法の検討といった被験者を必要としない検討を行ってきた。概日リズムを評価する場合、数時間間隔で複数回の検体採取が必要になる。検体数が多いほどデータの信頼性は上がる一方で、被験者の負担が増えるため、データの信頼性が担保できる必要最小限に採取回数に抑える必要がある。24時間で8回採血を行った結果から、検体数と採取間隔を17パターン×7つの遺伝子×11人(合計1309セット)で再解析を行い、検体の採取回数・頻度によるデータ信頼性の検討を行った(投稿準備中)。また、1日に数時間間隔で複数回の採血が必要だったこれまでの研究は侵襲が大きいことから、非侵襲的に採取可能な口腔粘膜を用いて時計遺伝子発現の評価方法の確立にも努めてきた。口腔粘膜は1回の採取量が多いとその後採取できるRNA量が著しく少なくなるため、1回の採取量と採取頻度のバランスが重要であったが、最終的には最適な採取量と採取頻度を定めることができた。しかし、RT-PCRでの定量時に7つの時計遺伝子のうち2つでうまく定量できないことがあり、RNAの抽出、cDNAの精製、検体の希釈倍率、添加量などRT-PCRに必要な様々なステップで検討を重ねてきたが解決には至らず、今後の検討課題として残されている。これらの活動は、申請課題に関連する分野をさらに発展させる可能性があり、申請課題に関連する研究活動を実施してきたと考えている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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巻: 9 号: 7
10.14814/phy2.14784
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