研究課題
特別研究員奨励費
本研究は偏極自己準同型写像を持つ代数多様体の分類を目的としている。偏極自己準同型とは、射影空間の自己準同型から誘導されるような射影多様体の自己準同型ことである。特に、偏極自己準同型を持つ多様体はCalabi-Yau typeと呼ばれる多様体になるという、Broustet氏と權業氏によって提唱された予想を解決することを目標としている。
今年度の研究の成果は主に二つある。一つは、混標数の極小モデル理論に関してである。これに関しては、昨年度から取り組んでいた問題で、strictly semi-stableの場合に、満足のいく結果を得ることができた。これにより、極小モデル理論とネロンモデルとの関係など、代数幾何学と数論幾何学の関係について調べることができるようになった。今後は、混標数の代数多様体や数論幾何学への応用を考えていきたいと考えている。また、二つ目の成果は、正標数の代数幾何学に関するものである。近年導入された、準フロベニウス分裂性と呼ばれる興味深い対象を研究した。これは、正標数の代数多様体に関する性質であり、フロベニウス分裂性の一般化である。この性質を嘉永することで、正標数の代数幾何学における病理的な現象が生じにくくなり、幾何学的性質を研究しやすくなることが知られている。今回の研究で行ったのは、この準フロベニウス分裂性の判定法に関するものである。定義だけを見ると、与えられた多様体が準フロベニウス分裂であるかどうか判断することは困難であるが、今回の研究により、超局面の準フロベニウス分裂性を、多項式の計算にある意味で帰着させることができるようになった。これは豊富な応用を持つと同時に、多くの具体例を計算するのに有用である。たくさんの具体例を観察することで、準フロベニウス分裂性の研究の見通しが良くなり、今後多くの研究者によって研究される対象となることを期待している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 7件)
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