研究課題/領域番号 |
20J11972
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠山 晴子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | グラフェン / 超伝導 / 2次元物質 / 電気伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、精力的に研究されているトポロジカル超伝導体(TSC)は、スピン三重項クーパー対超伝導などの新奇物性が予測されており注目を集めている。また、TSCのエッジや表面に発現するとされるマヨラナフェルミオンは、非可換統計の特性から将来的に量子コンピュータへの応用が期待されている。本研究では半導体上に成長したスピン軌道相互作用の強い2次元合金系に着目し、後方散乱が抑制されるため不純物に対してロバストという優位性を持つ2次元TSCの探索を行う。
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研究実績の概要 |
BCS理論により記述される典型的な超伝導体とは異なるトポロジカル超伝導体(TSC)が近年注目を集めている。TSCのエッジには、非可換統計の特性を持つマヨラナ粒子が発現するとされ、それを利用したトポロジカル量子コンピュータの開発が期待されている。近年、2次元炭素物質グラフェンがTSCとなり得ることが理論的に予測された。先行例としては半導体シリコンカーバイド(SiC)基板上の2層グラフェンにカルシウムをインターカレートすると超伝導が発現することが報告されている。しかし、その原子積層モデルは未解明っで、超伝導に寄与する電子状態についても議論が分かれ、TSCの可能性は未検証であった。 本研究では、従来よりさらに薄いSiC上単層グラフェンを舞台とし、カルシウムインターカレート誘起超伝導の調査を行った。具体的には、電子回折と角度分解光電子分光の観測により原子構造と電子状態を解明し、その場電気伝導測定から超伝導特性を調べた。 今年度は、超伝導臨界温度が常伝導伝導度に対して特異な振る舞いをすることを発見し、その機構に迫った。比較のため、アルカリ・アルカリ土類金属であるリチウムやストロンチウムをインターカレートした場合と比較し、インターカレート誘起超伝導における包括的な議論を行った。その結果、これまで超伝導の起源と考えられていた2次元自由電子的な電子状態だけではなく、グラフェンのπ電子も共に超伝導に寄与していることが分かった。さらに、TSCの起源となる「ファンホーブ特異点」という電子状態が超伝導臨界温度の決定に関与しており、単純な自由電子的な金属モデルを逸脱した超伝導であることが示唆された。これは、グラフェンにおけるTSCの実現に向けた大きな足がかりとなると期待されるとともに、カルシウムのインターカレート以上に高い超伝導臨界温度を実現するインターカレート原子種の提案につながる重要な発見である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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