研究課題/領域番号 |
20J12265
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
道下 佳寛 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2020年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 非線形応答 / トポロジカル物質 / 強相関電子系 / 非エルミート / 開放量子系 |
研究開始時の研究の概要 |
「電流が流れる」という現象・及びそれに付随する現象は、電場はもちろんの事であるが、電子が物質中で受ける相互作用、散乱こそが本質であり、そのような効果が大きい強相関電子系においては、電場・電流に対する巨大な応答が期待される。しかし理論での取り組みは相互作用が弱い系に対するものが多く、また電流下(非平衡)物性の取り組みはほぼ皆無である。 本研究では、強相関電子系における非平衡定常状態下での電子状態の解明に向け、流れのある場合に拡張したGreen関数法のフォーマリズムを構築し、実際の模型に適用、数値計算を行う。またその結果得られた知見を元に、開放量子多体系における新規臨界現象・物性制御の探索を行う。
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研究実績の概要 |
前年度の研究(散逸・繰り込みの非線形応答に及ぼす影響の解析)に引き続き、散逸の効果を特に幾何学的な立場から解析した。 まずGreen関数を用いた表式から出発し、実周波数積分を複素平面上の経路積分に置き換える事で、フェルミ分布関数由来の松原振動数の極からの寄与と、バンド固有値由来のグリーン関数の極からの寄与に分ける事が出来る。既存の研究で得られていた結果は、グリーン関数の極からの寄与について散逸がゼロの極限を取ったものと一致する。 散逸が無視できない場合に、線形の場合は松原からの寄与が大きく残るが、一方で(2次の)非線形応答においては他の項に比べて非常に小さくなることが分かった。2次の非線形応答においては空間反転対称性が必要であり、その情報は、バンドの幾何学的な項にエンコードされているが、松原振動数の極からの寄与は、この情報がほとんど見えないためにほとんど寄与しない。 つまり非線形応答においてはグリーン関数の極からの寄与のみ着目すれば、散逸の効果を取り込めている事になる。この時、散逸を表す自己エネルギーの虚部により、(準粒子の寿命を反映して)バンド固有値は複素数となり、フェルミ分布関数に複素数が代入される。結果フェルミ分布関数の虚部が生まれ、そこから新たな幾何学的な寄与として、Christoffel symbol termとgeneralized Berry curvature termが生まれる事が分かった。我々はこれらの項をdissipation-induced geometric term(散逸により新たに誘起される幾何学項)と名付けた。前者は非線形Drude項の他バンド補正を与え、後者は非相反応答の根源となる。 またWeylHamiltonianにおいて非線形応答の特異な化学ポテンシャル依存性を発見した。これは実験におけるワイル点及びそのタイプの同定に非常に役立つと思われる。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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