研究課題
特別研究員奨励費
本研究は,マイクロリング構造を鋳型に用いて作製したペロブスカイト/ポリマー複合体を活性層とするLECの作製と評価を行い,電界発光を達成,さらには電流励起駆動レーザーへと展開することを目的とする.ペロブスカイトの電流励起によるレーザー発振を目指すには,効率よい電流注入発光を可能とするサイズの制御された活性媒質や素子構造の作製の検討が必要である.そこで我々は,マイクロリング構造を鋳型に用いた溶液プロセスによる結晶成長法を用いることによって,共振器内にサイズが制御されたペロブスカイト結晶を作製する.さらに低電圧駆動が可能であるLEC構造も同時に構築することにより,電流励起による発振を狙う.
本研究は,電流励起型ペロブスカイトレーザーの実現に向けて,①溶液プロセスによるペロブスカイト共振器構造の作製とその光学特性評価,及び②作製した共振器構造を活性層に用いた電界発光素子の作製とその光学特性および電界発光特性評価を目的とした.当該年度は,マイクロキャピラリを鋳型に用いて作製した円柱状ペロブスカイトを発光層とした電界発光素子を作製した.まず,垂直に立てたマイクロキャピラリに対して真上から真空蒸着を行うことで,30 μmの内径を持つマイクロキャピラリ内に金薄膜(~ 40 nm)を作製した.次に,直径10 μmの金ワイヤーを作製した金薄膜を有するマイクロキャピラリ内に挿入した.最後に毛細管現象を用いてCH3NH3PbBr3前駆体溶液をマイクロキャピラリ内に導入・乾燥することで, Au/CH3NH3PbBr3/Au構造を作製した.作製した素子は光励起下においてWGMレーザー発振特性を示した一方,電界発光を得るまでに至らなかった.そこで次に,スパッタリング法により作製した金薄膜(~ 20 nm)を有するマイクロキャピラリと直径10 μmのニッケル線を用いて Ni/CH3NH3PbBr3:PEO(50:1 weight ratio)/Au 構造をマイクロキャピラリ法により作製した. その結果,マイクロキャピラリ内に成長したCH3NH3PbBr3:PEO複合体から緑色の電界発光を得た. しかしながら得られた発光は不安定であり,電流注入下におけるレーザー発振の達成には至らなかった.電流励起型ペロブスカイトレーザーの実現に向けたさらなる電界発光特性の向上のためには,不安定発光を起こさない均一なペロブスカイト発光層の作製法や,より効率よくキャリアを輸送する電極の選定が必要である.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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AIP Advances
巻: 11 号: 9 ページ: 095301-095301
10.1063/5.0057793
Japanese Journal of Applied Physics 60,
巻: 60 号: SB ページ: SBBH11-SBBH11
10.35848/1347-4065/abdb7f