研究課題/領域番号 |
20J14132
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
久野 温子 立命館大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2020年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | π電子系 / Pt(II)錯体 / 励起三重項状態 / ピロール誘導体 / アニオン会合 / イオンペア集合体 |
研究開始時の研究の概要 |
ピロールは、NHの水素結合供与や塩基による脱プロトン化、金属配位、電子過剰な状態に起因した高い反応性など、ほかの芳香環とは異なる魅力的な特徴と物性を有する。しかしその特徴ゆえ、ピロール誘導体の金属錯体はポルフィリンやその類縁体など、ピロールN部位を金属錯化部位とした利用に限定されており、ピロールNH部位を活用している例は少ない。本研究では、ピロールNHをアニオン認識部位として活かしたピロール誘導体の金属錯体を創製し、中心金属の配位形態による構造変化や、構成ユニットであるピロール環の配向に起因する集合化挙動を外部刺激(熱・光・化学)によって制御し、それにともなう新たな電子・光物性の発現をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究では、新規アニオンレセプターであるジピロリルジケトン金属錯体を基盤とし、外部環境に応答した物性発現機構の解明と構築を目的としている。すなわち、ジピロリルジケトン金属錯体に対して、配位子の修飾、中心金属の配位形態による構造変化、構成ユニットであるピロール環の配向に起因する動的な集合化挙動を外部刺激 (熱・光・化学)によって制御し、それにともなう新たな電子・光物性の発現をめざした。 対のリガンドがフェニルピリジンのジピロリルジケトンPt(II)錯体に焦点をあて、ピロール環に種々の置換基を導入した誘導体の合成に成功した。単結晶X線構造解析によって、Pt(II)イオンの平面4配位構造に起因した高い平面性を有することが示された。得られたジピロリルジケトンPt(II)錯体は、種々のアニオンに対して会合能を示し、1H NMRおよび単結晶X線構造解析から2種類の会合モードが存在することが示された。さらに、ジピロリルジケトンPt(II)錯体はリン光発光が示唆され、高い発光量子収率(0.30-0.42)とマイクロ秒オーダーの発光寿命を示し、Cl-会合によって制御可能であることも明らかにした。励起状態のダイナミクスの詳細を得るため、過渡吸収スペクトル測定を行い、一重項・三重項励起状態における各成分とその時定数を明らかにした。さらに理論計算によって、アニオン会合・非会合体の吸収・発光スペクトルの各遷移に対応する分子軌道を明らかにした。平面性の高いCl-会合体は、平面状π電子系カチオンであるポルフィリンAu(III)錯体とのイオンペア形成に成功し、結晶状態において電荷が交互に積層した積層構造を形成することが示された。以上の結果は、ジピロリルジケトンPt(II)錯体が種々の外部刺激に応答する分子として利用できるという知見を提示し、適切な分子設計や外部刺激によって新たな物性の発現が期待できる。
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現在までの達成度 (段落) |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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