研究課題/領域番号 |
20J14165
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池田 さやか 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2020年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 公権力 / 裁判権者 / 異なる権力の併存・相互補完関係 / 多元的・重層的な公権力 / 公〈開かれた/open〉法廷 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、紛争裁定権の掌握といった単純な権力論を脱却し、権力の多様な positionality〈立場性〉に着目することによって、戦国期における法的支配の実態について明らかにすることを目的とする。1年目は戦国期法廷の網羅的史料収集と分析を行い、個別の研究成果を査読雑誌に投稿する。2年目は1年目の成果を元に、戦国期における紛争裁定の比較検討を行い、研究全体の成果として、博士論文の執筆を目指す。
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研究実績の概要 |
2021年度及び2022年度は、2020年度に引き続き、①戦国期畿内における紛争裁定の分析、②支配者側の法的支配における〈曖昧性〉についての検討、③戦国期における「公」の権力についての分析、という三つの観点から研究を行うことを目的とした。 2021年12月には、立命館史学会大会において「戦国期畿内における「公権力」 紛争裁定の分析から」と題して報告を行い、戦国期畿内において紛争裁定権を持つ「公権力」= 狭義の「裁判権者」は複数存在し、時に牽制し合いながらも併存していたことを提示した。 三好氏といった新たな「裁判権者」の紛争裁定システムは曖昧で未熟でありながらも、軍事的影響力の強さから「裁判権者」としての存在感を高めており、戦国期特有の事象と見ることができる。受動的な当事者主義的裁判は、戦国期に至っても行なわれていたが、「裁判権者」は当事者主義的裁判を選択的に行っていたとみるべきだとした。 また、『立命館史学』(42、2013)に掲載された「足利義輝期における室町幕府政所沙汰について」では、戦国期畿内の法的支配の一端を提示することを目的に、北野社松梅院禅興と北野社別当曼殊院門跡覚恕による相論を取り上げた。戦国期において室町幕府にとっての京都支配の重要性が増すと、相対的に京都支配に直結する政所沙汰の重要性も増した。相論に介入した義輝は「公権力」再強化を図ろうとしたが、三好氏重臣かつ新規登用幕臣である松永久秀に諌言される結果になった。三好氏は政所沙汰の裁許を尊重したものの、裁許の補強として三好氏奉行人連署奉書を発給しており、当該期の室町幕府奉行人連署奉書の有用性低下を表しているといえる。義輝の恣意的な相論介入は政所沙汰の機能不全を引き起こし、相対的に三好氏の存在感が増すことになったが、それは異なる裁判権者の対立ではなく多元的・重層的な「公権力」の併存状況を表していると結論付けた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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