研究課題/領域番号 |
20J14171
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
李 受ミン 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Socioeconomic status / Shift-Persist strategy / Depressive tendency / Dynamic relationship / Psychological Health / Emotion regulation |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に社会経済的地位の低さ(以下,SES)による健康格差が問題視されている。特に,日本社会は「社会的な支援が,健康の回復・維持を含め,本人たちの実質的な救済には至っていない」という問題を抱えているからこそ,別の手立てを考える必要がある。本研究では,SESの低い人に有効なアプローチとされる「Shift-and-Persist strategy(以下S-P; 現在の状況に対する認知を変え,自身の将来について楽観的に考えることを意味する)」に着目し,S-Pが精神的健康に資するメカニズムを実験的に明らかにするとともに,S-Pの向上を目指した新たな心理教育的介入プ ログラムの開発・検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、社会経済的地位(SES)の低い人々が抱える心身の問題を軽減し、心身の健康を維持するためのアプローチである「shift-and-persist strategy (S-P)」に着目し、S-Pが低SES者の心身の健康に資するメカニズムを明らかにすることであった。初年度は(1)「低SESの人々の心理的健康に対するS-Pの影響を包括的に考察する」と(2)「S-Pの役割モデル(すなわち、両親)とその子供たちの間のS-Pの類似性」について調査した。結果として、S-Pは低SESの人々だけでなく、高SESの人々の抑うつ傾向を軽減するのにも効果的であり、高S-Pの親は高S-Pを持つ子供を育てることが示され、S-P理論の一般化可能性と再考に貢献する結果が得られた。 しかし、S-Pを獲得・発展させるプロセスや介入の可能性を提案することには課題が残り、S-P理論の精緻化が必要であることが明らかとなった。そこで、2021年から2022年にかけて、S-P理論の未検討の部分である、S-Pのロールモデルと習得・発達のプロセスに着目し、縦断調査を実施した。分析結果から、安定的でポジティブなロールモデルの存在が、低SESの子どものS-Pを発達させる可能性が示唆され、親と子どものS-Pの個人間変化や個人内変化には正の相関が見られた。また、S-Pのロールモデルに該当する人物がいると答えた子どものデータを中心に探索的分析を行った結果、ロールモデルが存在する子どもほどS-Pの増加率が高く、ロールモデルのタイプによってS-Pの増加の仕方に差異があること、さらにロールモデルの存在が子どものS-Pの個人内変化にも影響を与える可能性があることが示された。以上から、安定的でポジティブなロールモデルの存在が、子どものS-Pを発達させることが示唆され、今後の介入への展開に向けて新たな知見を蓄積することができた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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