研究課題
特別研究員奨励費
本研究では多孔体表面の流動摩擦抵抗を制御するための多孔体構造の設計指針を構築する。多孔体の界面流動には顕著な滑りが存在し、層流状態では滑面に比べて摩擦抵抗が小さい。しかし、速度分布の変曲点によりケルビン・ヘルムホルツ不安定波が生じ、比較的早い段階で乱流へと遷移するが、この発達をコントロールすることで多孔体界面の流動を制御することができると考えられる。この不安定波は進行方向に対して横方向のロール状の秩序構造を有しているため非一様的な多孔体構造により制御を試みる。
前年度までは非常に細い目を持つ金網を積層し,流れ方向の透過率が壁面垂直方向の透過率よりも大きい多孔体を作成し,その界面における乱流摩擦抵抗が低レイノルズ数域では滑面境界層と同程度まで抑制されていたが,レイノルズ数の増加に伴い次第に摩擦抵抗が増大する傾向を明らかにした.しかし前年度に使用した多孔体厚みの非一様性により多孔体表面が完全に平坦な構造になっていなかったため,これを改善するために積層構造を補強舌多孔体を作成し界面流動の再計測を行った.また本多孔体界面近傍流動をより詳細に理解するために多孔体を設置した矩形ダクト流路の二次流れを計測した.流れ方向(x)とスパン方向(z)を含むx-z平面内平均流速分布の計測データを流れ方向および壁面垂直方向(y)を含むx-y平面内平均流速分布とともに議論した結果,摩擦抵抗の増大を確認したレイノルズ数域において従来の多孔体ダクト乱流に見られる非対称な二次流れの流動パターンを確認した.また二次流れの非対称性が強まることで,多孔体近傍において流路の側端から多孔体内部に侵入した流動が流路の対象面において湧き出す様子が確認でき,これに伴い多孔体界面近傍で乱れが増加したものと考えられる.また,乱れの統計的性質を詳細に議論するために,流れ方向と壁面垂直方向の変動速度の四象限解析を行った結果,摩擦抵抗の増大を確認したレイノルズ数域においては,従来の滑面近傍乱流組織構造にはあまり見られない象限の運動がわずかに捉えられ,多孔体近傍乱流で摩擦抵抗増大の要因とされてるロール渦の痕跡が現れていると考えられる.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
Exp. Fluids
巻: 63 号: 4 ページ: 66-66
10.1007/s00348-022-03415-8
Journal of Thermal Science and Technology
巻: 16 号: 2 ページ: JTST0027-JTST0027
10.1299/jtst.2021jtst0027
130008037500
Progress in Turbulence IX, Springer
巻: - ページ: 51-56
10.1007/978-3-030-80716-0_7