研究課題/領域番号 |
20J14954
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉澤 あすな 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 日常の共生 / 領域的自治 / 可変的アイデンティティ / 地理的境界と感情 |
研究開始時の研究の概要 |
南部フィリピンでは、ムスリムに自治地域を付与することで和平を目指してきた。しかし1990年の自治地域成立後も武装闘争が継続し、新自治地域を決める住民投票は2019年になってようやく実施された。本研究は、南部フィリピンの和平停滞の要因として、ムスリムとクリスチャンが築く日常の共生と、住民の属性による住み分けを想定する自治地域の枠組みとの齟齬に着目し、そうした日常の共生と自治地域設立との相互作用を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、コロナ禍のため延期していたフィールド調査を9月に実施することができ、研究の進展につながった。 特に、北ラナオ州政治家一族のメンバー5名にインタビューを実施し、北ラナオ州において、暴力による分断の政治から、いかに通婚を通した「団結(unity)」を政治的正統性としてアピールするに至ったのかを明らかにすることができた。さらに、通婚の子ども世代の政治家へのインタビューを通して、彼らはムスリムとクリスチャンとの間に立つバランスだけでなく、宗教的敬虔さ、ジェンダー規範と個人の価値観の間でバランスを取ろうとしており、その感覚は日常レベルで人々が対立を回避し対処しようとする時の身構えと共通している。こうした、個人のアイデンティティ形成の過程と政治的レトリック形成との複雑な関係を考察することができた。 南部フィリピン和平関係者へのインタビューからは、自治地域創設プロセスにおける感情の側面の位置づけに関して自身の考察を裏付けるインタビュー結果を得た。特に2008年の「先祖伝来の土地に関する合意覚書」の撤回とその後の和平プロセスにとって、規範的正当性や経済的利害ではなく、「MOA-ADを繰り返さない」という感情に基づくレトリックが力を持ったことが明らかになった。そして、2019年以降のバンサモロ自治地域設置プロセスにおける新たな動きとして、クリスチャン入植者が自治地域に積極的に参与するようになった過程や、MILFによる「道徳統治」という架橋レトリックについて調査データを収集し、博士論文を執筆した。 これらの調査で得た知見を、5月提出予定の博士論文に反映し、執筆を進めた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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