研究課題/領域番号 |
20J20117
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
石井 咲 学習院大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2020年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | ロラン・バルト / エクリチュール / レクチュール / 文学理論 / 文学批評 / 精神分析 / 主体 / 中動態 / フランス文学 / 20世紀文学 / テクスト理論 / 倒錯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、20世紀のフランスを代表する批評家ロラン・バルト(Roland Barthes, 1915-1980)が用いた「エクリチュール」概念の解明を主眼とする。 具体的には、1970年以降に執筆されたテクスト(『表徴の帝国』、『テクストの快楽』、「エクリチュール変奏曲」、『ロラン・バルトによるロラン・バルト』など)を分析の対象に設定し、エクリチュール概念を「読む行為(=レクチュール)」の観点から捉え直し、その再定義を図る。この検証により、バルトのテクストにおける「作者」と「読者」、そして両者をつなぐ、いわば媒介としての「テクスト」の位置づけも明らかになることが期待される。
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研究実績の概要 |
2022年度は、ロラン・バルトの1960年代後半から1980年までに発表されたテクストをもとに、エクリチュール概念の総合的な研究を行った。研究当初は、1970年代前半の言説を対象に限定していたが、研究を進めていくなかで、この概念が書き手の「主体/主観性」とともに変容していくことが認められた。そのため、2022年度は射程を広げ、とりわけ以下の2つの点に着目し研究を遂行した。
(1)分裂する作者と人称代名詞の使用法にかんする研究:バルトが目指した〈散逸する断片としての作者〉が、いかにテクストに存在し得るのか検討するために、2つのテクスト(『ロラン・バルトによるロラン・バルト』、1975年;『恋愛のディスクール・断章、1977年)を対象に、そこにおける人称代名詞の使用法の分析を行った。その結果、バルトは、フロイト、ラカンの精神分析に示唆を受け、他者としての自己、あるいは自己における複数の他者というコンセプトを人称の機能に付与していたことが明らかになった。
(2)愛や死、喪という個人的経験に結びついた情動を言語化するバルトの手法の研究:(1)で得られた成果を踏まえつつ、遺作『明るい部屋』(1980)を対象に、そこで用いられる人称代名詞にいかなる変化が見られるのか分析した。その結果、当該テクストで使用された一人称は、物語世界におけるバルトと、のちにそれを記すバルトという二重性(二つの主体と二つの時間軸)によって構成されていることが明らかになった。現実の作者とは似て異なる「エクリチュールの自己」を作り出すことで、バルトは自己自身を一種演劇化していたと言えよう。よって、バルトにとってのエクリチュール概念とは、テクストという舞台に自らを上げること、およびその上演としてのテクストを意味すると結論づけるに至った。 この成果は3つの論文に結実し、現在はこれらをもとに、博士論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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