研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、北極海における堆積物中の珪藻類休眠期細胞に着目し、海氷変動といった環境変化に伴う珪藻類群集への影響を明らかにすることを目的として行う。まずJAMSTECの海洋地球研究船みらいの北極航海で採集した堆積物を用いて現場の休眠期細胞群集を明らかにし、環境変化に伴う珪藻類群集の時空間変動を包括的に捉える。併せて堆積物中の休眠期細胞を用いて疑似現場実験や室内培養実験を行い、堆積物中に存在する休眠期細胞が水柱の植物プランクトン群集へ与える効果を明らかにし、海氷変動による珪藻類群集の変容を予測する知見とする。以上の調査や実験より、海氷変動に伴う海洋生態系への影響を植物プランクトンの観点から議論する。
本研究は、太平洋側北極海の海底堆積物中の珪藻類休眠期細胞に着目し、海氷変動といった環境に対する珪藻類群集への影響を明らかにすると共に、これまで北極海では研究が為されてこなかった堆積物中の珪藻類休眠期細胞の機能について知見を深めることを目的としている。本年度は特に、以下の内容について進捗があった。(1)堆積物中珪藻類の光生理学的ポテンシャルに関する研究:昨年度まで行ってきた、堆積物中の珪藻類が光照射時に高い光生理学的ポテンシャルを有することをチュクチ海の堆積物を用いて示した研究について、査読付き国際学術誌より発表した。(2)秋季の太平洋側北極海の水柱における珪藻類休眠期細胞の分布に関する研究:2020年度に行われたJAMSTECの海洋地球研究船「みらい」による北極航海において採取した海水試料について、次世代シークエンサーを用いたDNAメタバーコーディングによる珪藻類群集の分析を進め、昨年度までに取得した走査型電子顕微鏡によるデータとの比較、統合を行った。その結果、南部チュクチ海陸棚域の表層および亜表層において、堆積物由来と考えられる珪藻類休眠期細胞が優占していることが明らかとなり、海底へ堆積した休眠期細胞は容易に有光層内へ輸送されることが示唆された。本研究全体を通して、太平洋側北極海では、海底堆積物中の珪藻群集は海氷動態の影響を大きく受けること、また、堆積物中に存在する珪藻類は光照射時に高い光生理学的ポテンシャルを有することを示した。加えて、秋季の現場観測より、堆積物由来の珪藻類は海洋表層近くまで輸送される可能性が示され、太平洋側北極海において堆積物中珪藻類が果たす基礎生産の起点としての役割が示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Marine Science
巻: 9 ページ: 998711-998711
10.3389/fmars.2022.998711
Journal of Geophysical Research: Oceans
巻: 126 号: 7
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Polar Science
巻: 27 ページ: 100555-100555
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Deep Sea Research Part II: Topical Studies in Oceanography
巻: 181-182 ページ: 104903-104903
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