研究課題/領域番号 |
20J20583
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
中林 ゆい (2020-2021) 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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特別研究員 |
中林 ゆい (2022) 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2022年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2020年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 種間相互作用 / 分布拡大 / 相利共生 / 食うー食われる / 共生関係 / 防衛共生 / 寄生 / 地理的変異 / 集団内多型 |
研究開始時の研究の概要 |
共生関係を持つ生物は他種に生存を依存しているため,生息環境の急激な変化に脆弱であると考えられてきたが,共生関係が必ずしも必要でない生物の中には,急速に分布域を広げている種も存在する.もし,これらが環境の変化に応じて共生関係を可塑的に構築,解消できれば,その分のコストを成長や繁殖に投資できるため,結果的に侵入先での個体数の増加に寄与すると考えられる.そこで本研究では,幼虫期にアリと共生関係を持ちながらも今現在分布を広げている昆虫のムラサキシジミと共生アリ,幼虫期の主要な天敵である寄生蜂の3者系をモデルに,「個体レベルの共生関係の可塑性が侵入先での個体群の安定に寄与する」という仮説を検証する.
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研究実績の概要 |
本研究では,分布を拡大している生物が侵入先で新しい種間関係をどのように構築するのかを明らかにするために,鱗翅目シジミチョウ科のムラサキシジミを中心とした種間関係に注目した.本種は元々西日本を中心に分布していたが,現在は宮城県仙台市まで分布を拡大している.また,幼虫期にアリに蜜を与えて捕食寄生者等の天敵を排除させる防衛共生を持っている.
前年度までの結果から,(1) 共生関係の構築は若齢期のムラサキシジミ幼虫の発育にコストになること,(2) 捕食寄生者の多い従来からの分布域の集団と比べ,捕食寄生者から逃れている分布北限域のムラサキシジミ幼虫はアリと関係を構築している個体の割合が低いことが明らかになっている.つまり,侵入先で余分な共生関係を解消することが新しい環境で集団サイズを拡大することに寄与している可能性が考えられる.そこで本年度は,共生関係の強度が規定される要因をより詳細に明らかにするために,共生強度が可塑的に変化するか否か,集団構造がどの程度異なるかを調査した.
野外での移植実験の結果,分布北限域由来の幼虫であっても,天敵の密度が高い従来からの分布域に移植すると従来からの分布域由来の幼虫と同等に高頻度で共生関係を構築することが明らかになった.つまり,分布北限域の集団は共生関係を構築できないわけではなく,周囲の環境に応じて共生強度を柔軟に変化させられる可能性が考えられる.また,GRAS-Di解析を用いてゲノムワイドに集団構造を比較した結果,分布北限域由来の個体と従来からの分布域由来の個体では異なるクレードに含まれていることが多かった.以上より,共生関係の強度は可塑的に変化させられるが,その程度は遺伝的に規定されており,分布北限域の集団には可塑性の程度が大きい個体が多く含まれている可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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