研究課題
特別研究員奨励費
マルチパーティ計算とは入力に関する情報を外部へ漏洩することなく関数を計算するための暗号技術である.秘密分散法はその基盤技術であるため,その効率性と安全性の向上はマルチパーティ計算の性能の向上へ繋がる.本研究では,関数を計算するサーバの任意の結託に対して安全性を保証するため,一般アクセス構造を実現する乗算可能な秘密分散法の効率性と安全性の向上を目指す.効率性については,一般アクセス構造に関する最近の研究結果を乗算可能な方式に適用することを検討する.安全性については,情報の部分漏洩を伴うランプ型秘密分散法を基盤としたマルチパーティ計算の安全性評価を行い,より安全なマルチパーティ計算の実現を目指す.
まず前年度までの成果の一つである強安全なランプ型秘密分散法の効率的な構成を用いて,複数ユーザが存在する状況において効率的にデータの秘匿検索を実現するSymmetric Private Information Retrieval (symmetric PIR)を実現した.続いてマルチパーティ計算の中でも現実への応用を見据えた実用的な関数に対して高効率なプロトコルを提案した.具体的には上述したデータの秘匿検索を含むPrivate Information Retrieval (PIR)と呼ばれる暗号技術に関してサーバの悪意のある改ざんを訂正・検出可能な高機能な方式の構成を提案し,その最適通信量の解析を行った.PIRに関してはその効率化に向けさらに研究を進め,サーバの台数に関して多項式の計算時間・通信量を達成可能であることを証明した.また,multipartiteアクセス構造に対する乗算可能秘密分散法および差分プライバシを満たすマルチパーティ計算プロトコルの効率化に関する研究について,前年度までですでに得られていた成果にプロトコルの実行時間の見積もりなど新たな内容を加え,国際論文誌に投稿し採録された.今後の研究ではマルチパーティ計算の新たな効率性の指標であるbottleneck complexityに注目し,bottleneck complexityの観点から効率の良いマルチパーティ計算プロトコルの提案を行う予定である.特に対称関数など具体的な関数に対して既存研究の暗号学的仮定を弱めることを目指す.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E106.A 号: 3 ページ: 263-271
10.1587/transfun.2022CIP0001
Designs, Codes and Cryptography
巻: - 号: 5 ページ: 1-28
10.1007/s10623-022-01177-2
IEEE Transactions on Dependable and Secure Computing
巻: - 号: 6 ページ: 1-16
10.1109/tdsc.2022.3227568
Advances in Cryptology - CRYPTO 2021
巻: 12826 ページ: 305-334
Advances in Cryptology - ASIACRYPT 2021
巻: 13091 ページ: 191-221
Financial Cryptography and Data Security
巻: -
1st Conference on Information-Theoretic Cryptography (ITC 2020)
巻: 163
2020 International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA)
巻: - ページ: 427-431
Information Processing Letters
巻: 164 ページ: 106018-106018
10.1016/j.ipl.2020.106018