研究課題
特別研究員奨励費
ヒトを含めた多くの動物は学習によって自らの行動を変容させることで、柔軟に環境の変化へと適応することができる。この学習を担う神経メカニズムとして、ドーパミンという神経伝達物質の関与が指摘されているが、それは同時に運動機能を担っていることも知られている。本研究の最大の目的は、こうしたドーパミンの機能を明らかにすることを通して、学習のメカニズムを明らかにすることである。そこで、本研究では機械学習を駆使することによって、動物の行動を詳細に計測して、その行動データと神経科学的な操作を組み合わせることで、ドーパミンが一体何を表現しているのか解明する。
ヒトを含めた動物の多くは、経験を通して行動を変容させることで、自身を取り巻く外部環境へと適応する。こうした経験による行動の変容は学習と呼ばれ、生物が生存・繁殖する上で必要不可欠な能力である。本研究では、心理学的な知見・実験手法に加えて、機械学習などの技術を駆使することで、学習を実現する心理・生物学的なメカニズムを明らかにすることを目指した。今年度は、昨年度に実施していた1)学習における予測と予測に基づいた行動の乖離、2)消去に伴う行動変容のダイナミクス、3)習慣形成における行動の巨視的構造の役割の検討、という3つの実験について、データなどの追加や国際学術誌への投稿を行った。1)では昨年度までの実験データを解析して、論文の執筆を行った。論文は国際学術誌Frontiers in Systems Nerosciences誌において公刊されている。2)ある行動をしても望ましい結果が得られなかった時に、一時的にその行動が頻発する消去バーストと呼ばれる現象がある。昨年度は、計算論的なモデルとシミュレーションによって、バーストの制御要因を特定し、マウスの実験によってその妥当性を検証した。今年度はデータの解析を行い、現在、論文執筆中である。3)行動には目的志向行動と呼ばれる柔軟な行動と、習慣と呼ばれるパターン化された行動の2種類がある。この2種類の行動は、単一の反応に対して2つの異なるシステムによる制御がかかっているものと考えられていた。昨年度に、行動を複数の反応から構成されるネットワークとして捉えるモデルを提案し、シミュレーションで、ネットワークの構造によって、2種類の行動の違いを説明できることを明らかにした。今年度では、追加のシミュレーションによってその知見が頑健であることを確認し、論文執筆を行い、論文は国際学術誌Communications Biology誌において公刊されている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (13件)
Communications Biology
巻: 6 号: 1 ページ: 1-16
10.1038/s42003-023-04500-2
Frontiers in Systems Neuroscience
巻: 16
Molecular Brain
巻: 15 号: 1 ページ: 1-9
10.1186/s13041-022-00952-5
巻: 15 号: 1 ページ: 1-12
10.1186/s13041-022-00959-y
bioRxiv
巻: -
10.1101/2021.07.29.454400
PLOS ONE
巻: 15 号: 11 ページ: e0242201-e0242201
10.1371/journal.pone.0242201