研究課題
特別研究員奨励費
ワクモは鳥類に寄生する吸血性の外部寄生虫であり、国内外の養鶏業界にとって今なお極めて大きな脅威である。現行の薬剤による防除法では十分な駆逐ができず、また薬剤耐性の獲得が大きな問題となっていることから、より優れた対策法の確立が望まれている。本研究ではワクチンを用いたワクモの新規制御法に着目し、効果的な抗ワクモワクチンの開発を最終目標とする。具体的には候補抗原の探索と、その機能及びワクモに対する防除効果の評価を行う。
本年度は当初の予定通り下記 (1) の研究を主に行い、加えて (2) の研究にも着手した。(1) 申請者らは過去に実施したワクモのトランスクリプトーム解析により3種類のワクチン抗原候補(cystatin様分子、Dg-Cys; 銅イオントランスポーター様分子、Dg-Ctr1; adipocyte plasma membrane-associated protein様分子、Dg-APMAP)を同定した。本年度は令和2年度に抗ワクモ効果を示したDg-Cys及びDg-Ctr1について、その成果を基に、抗ワクモワクチンの成分として特許申請を行った (特願2021-080691)。また、Dg-APMAPの免疫血漿についても同様に抗ワクモ効果を検討した結果、発育ステージを問わず殺ダニ効果を認めた。さらに、Dg-Cysの免疫血漿をDg-Ctr1またはDg-APMAPの免疫血漿と組み合わせた混合血漿を用いて抗ワクモ効果を検討したところ、成ダニに対しても殺ダニ効果を示し、また各血漿を単独で用いた場合と比べ殺ダニ効果が増強することを示した。(2) 組換えマレック病ウイルスを用いたウイルスベクターワクチンの検討を行った。病原性遺伝子を欠損させたマレック病ウイルスゲノムにDg-CysまたはDg-APMAP遺伝子を挿入した感染性クローンプラスミドを作製し、ニワトリ線維芽細胞に導入することで組換えウイルスを得た。感染細胞よりmRNAを抽出し、RT-PCRによってDg-Cys及びDg-APMAP遺伝子の発現を確認した。今後は感染細胞における標的タンパク質の発現を確認した後、組換えウイルスをニワトリに免疫し、抗体産生の誘導能の検討が必要である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Vaccine
巻: 39 号: 41 ページ: 6057-6066
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Vaccines (Basel)
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120007160301