研究課題/領域番号 |
20J22275
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
礒山 和基 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2022年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2021年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2020年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 超伝導 / テラヘルツ / ヒッグスモード / 光誘起相転移 / 超高速現象 / 光誘起超伝導 / テラヘルツ分光 / 鉄系超伝導体 |
研究開始時の研究の概要 |
光は通常物質の温度を上昇させるが,鉄系超伝導体のような超伝導相・磁性相など複数の秩序が共存・競合する系において光がもたらす効果は自明ではなく,例えば光照射による低温相や新たな秩序相への転移が追求されてきた.本研究においては電子やフォノンを選択的に励起できる中赤外光パルスを照射することで鉄系超伝導体がとる秩序状態を変化させ,その変化をテラヘルツ分光法によって観測する.本研究の最終的な目標は光誘起超伝導現象と呼ばれる光照射による金属相から超伝導相への転移の実現であり,この研究により鉄系超伝導体における超伝導相とその他の秩序の相関の解明や,超伝導発現機構に関する新たな知見の獲得が期待される.
|
研究実績の概要 |
我々は鉄系超伝導体FeSe系において、超伝導ギャップエネルギーと同程度の光子エネルギーを持つテラヘルツ(THz)波をプローブとして、光照射が超伝導秩序にもたらす効果を調べてきた。特にヒッグスモードと呼ばれる超伝導秩序変数の振幅モードが媒介する高効率のTHz第3高調波発生(THG)が、超伝導秩序変数のダイナミクスをピコ秒の時間分解能で捉える光学的なプローブとなることに着目している。これまでに我々は鉄系超伝導体FeSe0.5Te0.5において超流動密度を反映するTHG信号を観測し、さらにFeSe0.5Te0.5に近赤外(NIR)光パルスを照射すると、一時的にTHGが増強する、超伝導秩序変数の増加を示唆する振る舞いを観測した(2021年発表論文)。しかし理論的にはヒッグスモードの他に電荷密度揺らぎ(CDF)と呼ばれる超伝導準粒子の個別励起に由来する過程によってもTHGが起こる可能性が指摘されており、THG増強から直ちに超伝導増強が結論されるわけではない。そこで我々はヒッグスモードがTHGに支配的な寄与を与えていることが知られている従来型超伝導体NbNにおいても同様の測定を行った。その結果NbNにおいてもNIR照射後にTHG信号が増加する振る舞いが見られ、NIR照射によるTHG増強は超伝導体一般に見られる現象であり、超伝導増強を意味しない可能性が示された。THG増強の起源を明らかにするためNIR照射後のヒッグスモード自由振動を観測したところ振動振幅の増加は見られず、THG増強は光照射によるヒッグスモード振動のパラメトリック増幅に由来するものではないと考えられる。また過渡的なTHG信号はTHz波の偏光と結晶方位がなす角に依存せず、CDFが媒介するTHGの増加も示唆されなかった。光誘起THG増強の起源として、超流動密度の時間変化に対応した非線形超伝導電流が流れた可能性が残されている。
|
現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|