研究課題
特別研究員奨励費
ALMAの開発により、新たなことが明らかになると共に、新たな疑問が生じている。それらを解決するためには、現在の電波望遠鏡受信機では現実的な時間で観測することが難しい。そのため、次世代の電波望遠鏡の一つには、観測効率の向上のため、観測周波数の広帯域な受信機が求められている。現在、その広帯域化を妨げている一つに導波管回路がある。円偏波分離器等の導波管回路は、低損失に電波を伝送できるため、多くの望遠鏡で使用されてきたが、ミリ波帯では比帯域30 %程度しか開発されてこなかった。本研究では、導波管の物理現象を理解することで、導波管回路の比帯域を50 %以上まで拡張し、それらの回路の望遠鏡搭載を目指す。
昨年度、開発を進めていた90度位相遅延器の設計思想、測定結果をまとめて、IEEE Transaction on Terahertz Science and Technologyに投稿し、出版された(Masui et al. 2022)。本年度では、主に開発した位相遅延器と直交偏波分離器を用いて、円偏波分離器としての特性を評価した。円偏波分離器を精度よく測定するためには、入力から円偏波の信号を入力する必要があるが、設計周波数である210-365 GHzという広い周波数帯域において、円偏波を発生させる装置がないため、我々が設計した円偏波分離器を円偏波発生器として使用することで、精度の良い測定を試みた。具体的には、製造した2つの円偏波分離器を鏡面対称に接続し、円偏波分離器2つ分の反射損失、交差偏波分離度、挿入損失を測定した。測定結果より、反射損失と挿入損失では予想通りの結果が得られた。交差偏波分離度に関しては、片方の円偏波では設計通りの結果が得られているが、もう一方の円偏波では、設計からずれていることが確認できた。調査した結果、測定の都合上接続しているコンポーネントの特性が原因とわかり、現在改善を進めている。しかし、全体的に設計通りの結果が得られており、今後望遠鏡の搭載に向けて準備を進める予定である。また、今年度は、査読論文の執筆を精力的に進め、受理済みの査読論文4篇をもとに、学位論文を執筆し、学位取得に至った。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件) 学会発表 (61件) (うち国際学会 7件、 招待講演 2件) 備考 (3件)
IEEE Microwave and Wireless Technology Letters
巻: - 号: 7 ページ: 1-4
10.1109/lmwt.2023.3253124
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 33 号: 5 ページ: 1-4
10.1109/tasc.2023.3258368
Applied Physics Letters
巻: 122 号: 7 ページ: 072601-072601
10.1063/5.0134595
10.1109/tasc.2023.3254496
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: - 号: 3 ページ: 499-513
10.1093/pasj/psad015
IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology
巻: 12 号: 5 ページ: 527-534
10.1109/tthz.2022.3191851
巻: 73 号: 4 ページ: 1100-1115
10.1093/pasj/psab046
巻: 73 号: 4 ページ: 1116-1127
10.1093/pasj/psab062
Society of Photo-Optical Instrumentation Engineers (SPIE) Conference Series
巻: 11453 ページ: 165-165
10.1117/12.2561355
巻: 11453 ページ: 172-172
10.1117/12.2561955
巻: 11445 ページ: 156-156
10.1117/12.2560955
Proc. of Society of Photo-Optical Instrumentation Engineers Conference
巻: 11453 ページ: 114533-114533
10.1117/12.2562053
https://www.osakafu-u.ac.jp/press-release/pr20210708/
http://www.astro.s.osakafu-u.ac.jp/news/2020/20201117.html
http://www.astro.s.osakafu-u.ac.jp/news/2021/20210301.html