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環境半導体量子ドットの合成と発光素子の創製

研究課題

研究課題/領域番号 20J23803
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
審査区分 小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

山田 博之  北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2022年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2020年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード量子ドットレーザー / 量子ドット / ナノ粒子 / シリコン / 発光ダイオード / エレクトロルミネッセンス / 量子閉じ込め効果 / ナノ材料
研究開始時の研究の概要

本研究構想が目指しているのは、環境半導体量子ドット(QD)を活性層に用いた「電流注入型発光素子」の創製である。本研究ではまず、高効率で発光するQDの湿式合成および強発光を得られるナノ構造を明らかにする。さらにQDのサイズで規定される2準位系に不純物準位を形成、反転分布現象の発現にまで研究を進化させる。次に、溶液塗布プロセスを使って当該QDを活性層に具備する電流注入型の発光素子を作製する。キャリア遷移および再結合を制御するためのデバイス構造について研究を深め、発光機能増強を導く構造を解明する。さらに光共振器の作製を通じて、レージング機能発現にまで研究を発展させる。

研究実績の概要

本年度は、1.「近赤外発光シリコン量子ドット発光ダイオード(Si-QLED)の開発」と2. 「Si-QLEDの光出力強度の増強」の2項目について研究を実施した。
1)フォトルミネッセンスピーク波長が1,000nmにあるシリコン量子ドット(SiQD)を湿式合成し、当該QDを活性層へ具備することで1,000 nmの近赤外で発光するSi-QLEDを世界で初めて開発した。外部量子収率(EQE)は4.84%を記録し、900-1100 nmで発光する重金属フリーQLEDの中で最高値を達成した。次に、異なるサイズのSiQDを混合し活性層へ具備することで、ELスペクトル形状の制御を達成した。当該ELスペクトルの形状制御は、吸収スペクトルと発光スペクトル間の大幅なストークスシフトにより、異なるサイズのQD間でのエネルギー移動が最小化されたため達せられたと議論された。これらの成果は国際学術論文誌: ACS Applied Nano Materials, 2021, 4, 11, 11651-11660に掲載された。
2)電子輸送層(ETL)としてZnMgOナノ粒子、正孔輸送層(HTL)としてTCTAを具備することで、従来のETLにZnO、HTLにCBPを具備したデバイスよりも光出力強度が10倍高いSi-QLEDの作製に成功した。当該光出力強度の増強メカニズムについて調べるため、デバイス電流密度に対するEQE解析をしたところ、高電流密度下においてもEQEの急激な減少が従来よりも抑制されていた。次に、デバイスの断面走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、高電圧駆動後のデバイスにおいても当初の層構造を保持しており、さらに有機物層への損傷もなかった。以上の結果から、高電圧駆動下においてもデバイス構造が安定しており、効率的なキャリア注入バランスが持続したため、光出力強度が増強されたと結論づけられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究計画の進展を判断した理由は、次の2点に帰着する。
1)電流注入型QDレーザーの実現のためには、土台となる強発光QLEDの作製が必要不可欠であったが、従来のデバイス構造では高電流密度を流した際にEQEが大きく下がり発光強度が得られないという問題を抱えていた。しかし本研究により、高電圧駆動下においてもEQEの急激な減少が抑制されるデバイス構造を発見し、光出力強度が従来よりも10倍増強された。それゆえ、強発光QLEDの実現可能性が高まった。
2)QDレーザーを実現するためには、QD内での反転分布の形成が必要不可欠である。しかし、現在までSiQD内における反転分布の形成を明らかにできていない。

今後の研究の推進方策

反転分布を形成するために、SiQD内へのボロン及びリンの不純物ドープを継続して行う。また他の元素種(Mn等)でも不純物ドープが実現できるか探索する。さらに遷移金属の結晶格子置換がコバルト(Co)でも成功しているため、過渡吸収測定により不純物準位形成を明らかにし、反転分布形成を明らかにする。また、Ni等他の遷移元素でも格子置換の可能性を探索する。SiQDに対して不純物ドーピング操作を施しても反転分布を形成することが困難な場合には、QDを他物質(InP/ZnS、CsSnxGe1-xCl3 QDs等)で置き換え、研究を進めることを考えている。

報告書

(2件)
  • 2021 実績報告書
  • 2020 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Silicon Quantum Dots for Light-Emitting Diodes Extending to the NIR-II Window2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Junpei、Yamada Hiroyuki、Sun Hong-Tao、Moronaga Taku、Ishii Yasushi、Shirahata Naoto
    • 雑誌名

      ACS Applied Nano Materials

      巻: 4 号: 11 ページ: 11651-11660

    • DOI

      10.1021/acsanm.1c02223

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Improved Brightness and Color Tunability of Solution-Processed Silicon Quantum Dot Light-Emitting Diodes2020

    • 著者名/発表者名
      Yamada Hiroyuki、Saitoh Noriyuki、Ghosh Batu、Masuda Yoshitake、Yoshizawa Noriko、Shirahata Naoto
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry C

      巻: 124 号: 42 ページ: 23333-23342

    • DOI

      10.1021/acs.jpcc.0c06672

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 高輝度かつ発光波長可変なコロイダルシリコン量子ドット発光ダイオード2021

    • 著者名/発表者名
      山田博之、白幡直人
    • 学会等名
      日本セラミックス協会、第34回秋季シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Silicon Quantum Dot Light-Emitting Diode Using Size-Separated Silicon Nanocrystal2020

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Yamada and Naoto Shirahata
    • 学会等名
      MANA International Symposium 2020 jointly with ICYS
    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 国際学会
  • [備考] SAMURAI 物質・材料研究機構

    • URL

      https://samurai.nims.go.jp/profiles/yamada_hiroyuki2?locale=ja

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書 2020 実績報告書

URL: 

公開日: 2020-07-07   更新日: 2024-03-26  

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