研究課題/領域番号 |
20J40231
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 東京都立大学 (2022) 名古屋大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
渡辺 麻衣 東京都立大学, 理学研究科, 研究員
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研究期間 (年度) |
2020-10-12 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 超分子複合体 / 光合成 / 環境応答 / アンテナ / 光化学系 |
研究開始時の研究の概要 |
光化学系I複合体 (PSI)のアンテナには、光化学系II複合体(PSII)と共有する従来型PBSと、PSI特異的なCpcL-PBSの2つが存在する。PSIは光合成の2つの電子伝達経路、直鎖状と環状電子伝達の両方に関わる。従来型PBSとCpcL-PBSの量比を環境条件に応じて制御することで、直鎖状電子伝達活性と環状電子伝達の比率を調節し、細胞内の還元力NADPHとATPの量比を調節していると考えた。本研究では、環境刺激に対するそれぞれのPBSのキー遺伝子の発現、それぞれの超複合体の量比の変化、2つの電子伝達活性の変動を調べる。
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研究実績の概要 |
多くのシアノバクテリアはアンテナとしてフィコビリソームをもつ。フィコビリソームには、コアとロッドからなるCpcG-PBSとロッドのみからなるCpcL-PBSがある。CpG-PBSとCpcL-PBSの両方がPSIアンテナとして機能するが、2つの異なるアンテナがどのように使い分けられてPSIへエネルギー伝達し ているのだろうか。 光合成の電子伝達には直鎖状と環状の2つの経路が存在する。この研究では、CpcG-PBSは直鎖状電子伝達を担う光化学系Iへ、CpcL-PBSは環状電子伝達を行う光化学系Iへ光エネルギーを分配するという、2つの異なる電子伝達系に対応したアンテナの使い分けが行われているという作業仮説を立てた。それを検証し、CpcG-PBSとCpcL-PBSの光化学系Iアンテナとしての使い分け原理を明らかにし、環境に応じたフィコビリソームから光化学系Iへのエネルギー分配最適化の分子機構と生理的役割の解明をめざす。 これまでにモデル生物として使用してきた、Anabaena sp. PCC 7120で、CpcG-PBS、CpcL-PBSそれぞれに特異的なサブユニットである、CpcG、CpcLを破壊した変異体と、CpcLを過剰発現した変異体のCpcL-PBSと光化学系I超複合体の形成、それぞれのフィコビリソームへの影響を解析した結果を論文にまとめ、発表した。CpcG、CpcLの量比が超複合体の形成を制御していると考えられたため、CpcG、CpcLの発現解析を行なった。この結果を論文にまとめている。 共同研究により、Anabaena以外のシアノバクテリアにおける、CpcLの制御について新たな知見が得られたので、それについても論文にまとめている。また、海洋性シアノバクテリアのCpcL-PBSの機能について調べるため、変異体の作製を行ない、発現解析のためRNAseqを準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究結果を論文として発表できた。予定していた研究計画に加えて、共同研究により新たに始めた研究があり、進捗は少し緩やかである。しかし、それぞれについてこれまでの研究結果をまとめる段階に入っており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究により行なっている、海洋性シアノバクテリアのCpcLの機能についての解析を進める。当初の研究計画である窒素欠乏によるcpcLの制御について論文にまとめ、投稿する。アンテナによる光合成電子伝達の制御について検証するため、CpcG、CpcL変異体を用いた光合成電子伝達の測定を開始する。
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