研究課題/領域番号 |
20K00005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
周藤 多紀 京都大学, 文学研究科, 教授 (50571733)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 校訂版 / 写本 / 倫理学 / 13世紀 / アリストテレス / 註解 / オックスフォード / 13世紀 / ニコマコス倫理学 / モドゥス / 中世哲学 / 注解 / 校訂 / 徳 / 勇気 / 節制 / 注解書 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、十三世紀後半のオックスフォード大学学芸学部で、勇気と節制の徳がどのように論じられていたのかを解明することを目的としている。とりわけ、写本でしか読むことができなかった十三世紀後半のオックスフォードの思想家ディンスデールのヨハネスの『ニコマコス倫理学』注解書の第三巻の校訂版を作成して、その内容を明らかにする。また、ディンスデールのヨハネスが参照している資料を特定し、当時の勇気や節制の徳の概念がどのような仕方で形成されたかを明らかにする。さらに、同時代にパリ大学学芸学部で書かれた『ニコマコス倫理学』注解書と比較することによって、パリとオックスフォードの間の思想上の影響関係について考察する。
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研究成果の概要 |
現存する三つの写本資料に基づいて、ディンスデールのヨハネスの『倫理学註解』第三巻の批判校訂版を完成させた。校訂版の作成にあたって、ヨハネスが参照した資料や同時代の『倫理学註解』との比較研究を行い、その成果を国内の研究会と海外の国際学会で発表し、ヨハネスの『倫理学註解』の特徴と重要性についての考察を深めた。ヨハネスやパリの学芸学部教師の註解で時折目立つ「モドゥス」というタームの理解を深めるために、トマス・アクィナスの多様な「モドゥス」の用法について考察し、成果を論文にまとめた。マレンボンによる中世哲学の入門書を訳出しながら、中世哲学の研究方法についても反省的考察を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
13世紀後半の写本資料を校訂することで、内外の中世哲学研究者がより容易に研究をすすめるための手段を提供した。そしてキリスト教道徳から切り離された形で展開されていた倫理学の議論の在り方とその形成史を明らかにすることで、理性に基づいて議論をすすめるという、西洋哲学の主潮流の一側面を内外の研究者に示した。またトマス・アクィナスにおけるモドゥスの概念を分析することで、後の西洋哲学で重要な役割を果たす概念がもつ豊かな内容と歴史を明らかにした。さらに、マレンボンの中世哲学史入門書の訳出によって、日本の一般の人々にも、西洋哲学の源流を成す中世哲学についての知識を得る手段を提供した。
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