研究課題/領域番号 |
20K00008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石井 一也 香川大学, 法学部, 教授 (70294741)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ガンディー / サティー / 幼児婚 / 人新世 / 手紡ぎ / ライ / ジェンダー / エコロジカル・フェミニズム / 近代 / コンヴィヴィアリティ / フェミニズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ガンディーのジェンダー論をエコロジカル・フェミニズムとの関連において分析しようとするものである。女性を非暴力の象徴と見なす彼のジェンダー論は、本質主義として批判される側面をもちうる。にもかかわらず、権利や自由が尊重される近代社会での男女平等化のベクトルとは異なり、生命の再生産を重視するフェミニズムの観点から、両性間の役割に関するガンディー思想を捉えなおす必要がある。そうした作業は、産業の生産性を追求して環境と人間の破壊を進めてきた近代主義を乗り越え、社会科学が、人間と人間、人間と自然の間のコンヴィヴィアルな(自立共生的な)関係性を構築する縁として、重要な学術的意義をもつ。
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研究実績の概要 |
2022年度は、第一に、エコロジカル・フェミニズムをめぐる日本における論争と、それを踏まえて主としてヴァンダナ・シヴァによる女性原理の意味を分析した。日本においては、上野千鶴子によるイヴァン・イリイチに対する痛烈な批判、およびイリイチに理解を示す青木やよいと上野の激しい論争がある。またこれらとは別に、ヴァンダナ・シヴァは、近代において生命や環境に対する暴力的開発が、いわゆる男性原理によって推し進められ、これに代わる女性原理こそが、近代を乗り越える上で必要な考え方であると主張している。同じフェミニズムの内部においても、激しい原理的対立が存在しており、それらの意味を冷静に分析する余地はなお残されている。 第二に、ガンディーによる女性についての言説を分析した。幼児婚、サティー、寡婦再婚などのテーマをめぐる彼の言説は、概ね、19世紀の宗教改革の流れをくむものだが、同時に20世紀のヒンドゥー至上主義がときに他宗教に対する暴力的・排他的傾向を示したのに対抗するかたちで、非暴力を女性性から引き出そうとしたことが、読み取れる。こうしたガンディーの姿勢は、上記のシヴァらによるエコロジカル・フェミニズムが、環境に対する配慮において女性原理を前面に押し出すのとはやや文脈が異なるので、両者の共通性と差異を明確にすることが今後必要になってくるだろう。 なお、2021年度に執筆した「人新世」についての論文が、2022年度に日本平和学会の『平和研究』に掲載された。斎藤幸平氏の「脱成長コミュニズム」論に異を唱えて、手紡ぎの復活に近代からの脱却を求めたガンディーの経済論に可能性を見出そうとするものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出張(とりわけ海外出張)が制限されたことに大きく影響されて、進捗状況は遅れ気味である。1年間の延長をお認めていただいたので、2023年度をかけてペースを挽回したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に引き続き、植民地インドにおける女性の抑圧状況を踏まえて、女性解放運動におけるライとは異なるガンディー独自のアプローチ和木らかにするとともに、インド独立運動における男性原理と女性原理を浮き彫りにして、女性原理に基づいて近代を乗り越えようとしたガンディー思想の意味をより明確に分析したい。
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