研究課題/領域番号 |
20K00009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐藤 慶太 香川大学, 大学教育基盤センター, 教授 (40571427)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | カント / 理性 / 18世紀ドイツ哲学 / 超越論的方法論 / 哲学 / 永遠平和のために / 理性の制度化 / 歴史哲学 / 経験と原理 / 『純粋理性批判』の改訂 / 理論理性と実践理性 / 自然の形而上学 / 18世紀ドイツ / 反省 / 理性の法廷 / 規範性 / 誠実性 / 合理主義と経験主義 / 新カント派 / 理性の陶冶 / 哲学史像の構築 / 認識論 / 心の能動性と受容性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は18世紀ドイツ認識論史の再構築を通じて「理性」概念の新たな可能性を探ることを目的とする。現代、18世紀ドイツ認識論史を振り返るにあたり、理性と非理性の分断、カント哲学と当時の他の思潮との峻別を是認する見方が支配的であり、これが「理性」概念の狭隘な理解と通底していると言える。この状況を克服すべく、本研究は①既存の認識論史像の成立背景と限界を明らかにし、②実証的哲学史研究の成果も取り入れつつ、〈心の能動性と受容性〉を軸に18世紀ドイツ認識論史を再構築する。これを踏まえ③「理性」概念の見過ごされてきたアスペクトを解明し、現代の「理性」をめぐる議論に対して新たな「理性」理解の可能性を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は、(1)新カント派による哲学史像の成立背景と限界の解明、(2)18世紀ドイツ認識論史の再構築、(3)18世紀ドイツにおける「理性」概念の再検討、の三つの部分からなる。2023年度は(1),(2),(3)すべてに関わる研究を行った。 (1)(2)について。2022年度の研究成果を踏まえて、『ドイツ哲学入門』(共編著、ミネルヴァ書房、2024年刊行予定)において、17世紀・18世紀のセクションの項目選定・総論の執筆を担当した。ここで「経験主義VS合理主義」という枠組みを使わずに17世紀・18世紀ドイツ哲学を概観する方向性を提示した。具体的には、当時の自然学の躍進を前提として生じた「経験と原理(理性)をどう関係づけるか」という問いを軸に、様々な哲学的立場を整理する、というものである。 (3)について。2023年度の研究を踏まえて、『純粋理性批判』「超越論的方法論」(以下「方法論」)および『永遠平和のために』の読解を行った。前者では、2023年度の研究成果を踏まえて、方法論全体の体系性を明らかにした。この成果は、2024年度9月に開催される14th Internatonal Kant Congressにて発表される予定である。後者においては、『永遠平和のために』の第一補論に着目し、カントの倫理学と歴史像との必然的な関係性を明らかにした。この考察において本研究代表者は、カントが永遠平和のための制度設計を「理性」との関係で論じている点を指摘した。このことは「理性の制度化」がキーワードとなっている現代の議論との接点となると思われる(cf. Joseph Heath, Enlightenment 2.0)。この研究成果の一部を、キヤノングローバル戦略研究所・フューチャー・デザイン・ワークショップにて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)新カント派による哲学史像の成立背景と限界の解明、(2)18世紀ドイツ認識論史の再構築、(3)18世紀ドイツにおける「理性」概念の再検討、の三つに区分される。 (1)(2)については、18世紀ドイツ哲学の展開をよりきめ細やかに読み解くための視座と、成果公表についての見通しを得ている。(2)に関しては、コロナ感染予防対策の影響があり、当初予定していた海外での資料収集が実施できなかったが、この予算を海外での成果発表に用いるという方針転換を行うこととし予定も立てられた。(3)については、「理性と論争」、「理性と制度」という研究の足掛かりとなるテーマを得ている。 以上を踏まえて「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染予防対策の影響があり、当初予定していた海外での資料収集が実施できなかったが、この予算を海外での成果発表に用いるという方針転換を行うこととし、すでに2024年度の予定も立てている。
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