研究課題/領域番号 |
20K00011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
倉田 剛 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (30435119)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 制度 / 付与主義 / 集合的責任 / 制度的責任 / 社会存在論 / 集団行為者 / チーム推論の理論 / 方法論的個人主義 / 概念分析 / 規範 / 均衡としての制度 / ルールとしての制度 / 形而上学 / 社会科学の哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
「制度」(institution)は極めて広い外延をもつ概念である。それは、挨拶の仕方や死者の弔い方といったインフォーマルな慣習から、不法行為への制裁の与え方や補助金の給付手続といったフォーマルな法規範までを含む「分厚い」概念として理解される。 私たちの世界の至るところに見いだすことができる制度とはいったい何であるのか。すべての制度的現象に共通する「本質」はあるのか。いかにして制度は生成し、持続し、変化し、消滅するのか。本研究は、制度に関するこうした根本的な問いを、人間的世界の基本構造を記述する社会存在論(social ontology)の観点から考察する。
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研究実績の概要 |
(1) 2024年度中に出版予定の著書『社会存在論』(勁草書房)の執筆において進捗が見られた。とくに制度に関するサールの標準モデルと、フェミニスト形而上学者として知られるアスタの「付与主義」(conferralism)との比較検討を行う章の中で、後者の理論は、フォーマルな制度的性質(「日本の首相である」など)と、権威が介在しない共同社会的性質(communal property)の双方を統一的な枠組みで説明しうる点でより優れた側面をもつものの、それらの性質を基礎づける(形而上学的に根拠づけるground)基本性質(base property)の扱いに関して難点をもつという結論を得ることができた。 (2) 社会存在論の重要なトピックスのひとつである「集合的責任」(collective responsibility)の概念を、フォーマルな意思決定構造をもつ制度体(国家、会社、大学など)と、インフォーマルな制度(慣習)に支配された集団(「緩く構造化された集団」町内会、メディア業界など)との区別にもとづいて、明確化することができた。その成果は単著「集合的責任――戦後責任についての試論」(校正作業中、『ひとおもい』6号、東信堂、2024年7月刊行予定)として公表される。 (3) 社会存在論としての制度理論の基盤、すなわち制度の「存在」に関連する基礎研究を行った。その成果は単著「分析哲学における存在の問題」(校正作業中、中畑正志編『新版 哲学を学ぶ人のために』世界思想社、2024年10月刊行予定)として公表される予定である。
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