研究課題/領域番号 |
20K00012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田中 朋弘 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (90295288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 倫理的熟達性 / 徳 / 技能 / 専門職 / 性格特性 / 技能からの類推 / 徳の統一性 / 説明可能性 / 自己秘匿性 / フィルター性 / 技術 / プラトン / アリストテレス / アナス / スティクター / 技術的熟達性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中心となる問いを「専門職の倫理的熟達性とは何か」と設定し、それに答えることを目指す。そのためにまず、徳倫理学における徳と技術(およびその熟達性の類比論から議論を始める。具体的には、プラトン的な徳の熟達性とアリストテレス的な徳の熟達性をとりあげる。両者の違いは、前者は技術には知性的な要素が必要とされると見なし、後者はそうではないと見なすところにある。さらに、アリストテレス的な徳の熟達性を踏まえて議論を展開しているパトリシア・ベナーの議論を、「徳」の熟達性に限定されない「倫理的熟達性一般」の議論として解釈しなおし、「専門職の倫理的熟達性とは何か」について多元的な観点から明らかにする。
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研究成果の概要 |
「専門職における倫理的熟達性とは何か」という問いについて考えるために、本研究では徳と技能の類比論を取りあげた。「徳は技能であるか」という問いに対してジュリア・アナスは、徳は技能と似ているが技能ではないと考える。他方、マット・スティクターは、徳は技能であると考えている。両者を最も隔てるポイントは、アナスが徳は性格特性であると見なし、他方スティクターが徳は性格特性ではないと見なしている点にある。他方で、両者は共に「技能は性格特性ではない」と考えている。彼らの議論はそれぞれの側で整合性は保たれているが、徳が性格特性であるか否かについて明示的に論証されているわけではないため、議論の余地が残る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「専門職における倫理的熟達性とは何か」という問いについて考えるために、本研究では徳と技能の類比論を検討した。古代ギリシア以来、徳と技能の発達段階に関して類比性が認められてきたが、近現代の規範倫理学では、道徳的判断の構造分析に力点が置かれ、倫理的熟達性に関する議論は等閑視されてきた傾向がある。本研究では、徳と技能の類比論について論じている新しい研究を踏まえて、それらが実践においてどのように考えられるべきかについて、一定の手がかりを得られた点に学術的意義がある。またそれを踏まえて、専門職倫理の実践において、徳や技能をどのように考えるべきかを解明するための手がかりが得られた点に社会的意義がある。
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