研究課題/領域番号 |
20K00014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
渡名喜 庸哲 立教大学, 文学部, 准教授 (40633540)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エマニュエル・レヴィナス / ハンナ・アーレント / フランソワ・エヴァルド / ギュンター・アンダース / 責任 / グレゴワール・シャマユー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「脱人間化」社会における「責任」概念の変容を、以下の4側面から検討する。①社会思想史的アプローチとして、F・エヴァルドをもとに近代的社会制度の展開における「責任」概念の変容を検討する。②政治哲学的アプローチとして、全体主義体制および原爆投下をめぐるH・アーレントとG・アンダースの思想を検討する。③現象学的アプローチとして、E・レヴィナスの現象学的哲学における「責任=応答可能性」概念を実践的な文脈へと接続しうるかたちで検討しなおす。④応用倫理的アプローチにより、AI開発における人間の行為の代替化に伴う「責任」の変容を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、本研究は「脱人間化」社会における「責任」概念の変容を、1)社会思想史的アプローチとして、F・エヴァルドをもとに近代的社会制度の展開における「責任」概念の変容の検討、2)政治哲学的アプローチとして、全体主義体制および原爆投下をめぐるH ・アーレントとG・アンダースの思想の検討、3)現象学的アプローチとして、E・レヴィナスの現象学的哲学における「責任=応答可能性」 概念を実践的な文脈へと接続しうるかたちの検討、4)応用倫理的アプローチにより、AI開発における人間の行為の代替化に伴う「責任 」の変容の検討の四つの柱を設定してきた。 2022年度は、1)に関しては、エヴァルドの主著である『福祉国家』の翻訳作業を進めている。2)に関しては、研究分担者として参加している別の科研費研究課題と共同で、2023年3月に公開シンポジウム「テクノロジーは私たちを幸福にするか?アーレントと『スマートな悪』」を開催し司会を務めた。また、アーレントとコスモポリタニズムに関する論考を公刊した。3)および4)に関しては、まず2022年7月に、所属大学の助成を受けるかたちで、フランスにて国際シンポジウムを共催したが、そこで本研究の成果と言える口頭発表を行い、内外の専門家から多くの助言を受けた。また、2022年9月には日仏会館における国際シンポジウムにてレヴィナスとジャン=リュック・ナンシーの関係に関する口頭発表を行った。2022年12月には、レヴィナス協会と共催して、鳥取大学医学部脳神経小児科にて臨床に携わる佐々木満ちる氏をお招きした公開研究会を開催し、レヴィナスにおける「責任」概念がとりわけ障害児医療においてどのように適用されうるかを検討した。さらに、2022年9月公刊の『レヴィナス読本』では「レヴィナスと福祉」の項を担当し、本研究課題に関する研究成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究主題のうち、一部に関しては当初想定していた以上に進展しており、研究成果も公表を進めている。 しかし、コロナ禍によって予定していた海外出張を取りやめざるをえず、研究資料調査の面では遅延しており、そのため研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度が本研究の最終年度である。上記研究計画のうち、2)に関しては概ね順調に研究が進められており、とりわけ3)4)に関しては2023年7月に予定しているフランスでの国際シンポジウムにて成果を報告する予定である。その出張を利用して、研究資料調査を実施する予定である。 なお、1)のエヴァルド『福祉国家』の精読・翻訳作業については若干遅れているため、今年度はとりわけここに注力する予定である。
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