研究課題/領域番号 |
20K00019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
中尾 央 南山大学, 人文学部, 准教授 (20720824)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 戦争 / 心理学 / 文化人類学 / 道徳 / 考古学 / 人類学 / 自然哲学 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目標は,戦争のような大規模な集団間闘争が,ヒトの道徳性の進化にとってどのように影響してきたか(あるいはしてこなかったか)という問いについて,主に考古学,人類学,生物学(霊長類学),心理学における関連研究を調査・検討して総合的結論を得た上で,その哲学的な含意を探ることである.
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研究実績の概要 |
三年目には生物学,主に霊長類学における集団間闘争の研究を調査することを予定していた.しかし,心理学の研究者との議論や各種共同研究の進捗を踏まえ,本年度は四年目以降に予定していた心理学や文化人類学における紛争・戦争研究を批判的に検討した.心理学でもさまざまな紛争・集団間闘争に関わる研究が蓄積されており,そこでは偏狭な利他性(parochial altruism)と呼ばれる利他性の進化に関して,集団間闘争が大きな役割を果たしていたのではないかという研究が心理学的側面から検討されている.本年はこの研究を批判的に検討した上で,集団間闘争が利他性の進化にはそこまで大きな影響を与えてこなかったのではないかと暫定的に結論した.同様に,文化人類学においてはさまざまな戦争・紛争研究が蓄積されている.好戦的な民族に関する研究などもあり,これらの研究から人間の利他性・道徳性に関して戦争・集団間闘争が与える影響を検討した.その結果,さまざまな民族において必ずしも集団間闘争が,偏狭な利他性の進化モデルが想定していたような形で集団内の利他性と集団間の敵意を増長させる要因にはなっておらず,やはり偏狭な利他性の進化モデルは民族誌や文化人類学のデータともうまく合わない部分が大きいのではないかと暫定的に結論した.本年度はここまでの研究をまとめ,『心理学評論』においてレビュー論文を執筆する事ができた(中尾央・田村光平・中川朋美.2023.人間進化における集団間紛争:偏狭な利他性モデルを中心に. 『心理学評論』65(2):119-134.).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは少し前後したが,四年目に予定していた研究内容を先取りして遂行できたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は次年度に予定していた研究内容を先取りして遂行したため,次年度は本年度に予定していた霊長類学や生物学における戦争・紛争研究について批判的に検討を行う予定である.
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